◆ 【翻訳】イニストラードを覆う影 リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Shadows over Innistrad Limited Set Review – White
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年3月28日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/shadows-over-innistrad-limited-set-review-white/
 
 ついにイニストラードを覆う影の全貌が明らかになった!というわけで、一枚一枚のカードを見ていくよ。まずはリミテッドからだ。始まる前に少しだけコメントさせてくれ。
 
 カードの点数そのものより、レビューの内容を見てほしい。点数はざっと概観する手段としては便利だけど、一枚一枚なぜその点数をつけたのか、分析部分の方が重要だし、表面的な評価に囚われることなく考えられると思う(使用に制約のあるカードとかね)。
 
 調査(手がかり)、昂揚、部族シナジーなど、メカニズムの中には実際に使ってみないと評価の難しいものもある。各メカニズムに関連したカードがどの程度の強さなのか、推測になってしまうができるだけ頑張るつもりだよ。例えば《霧の侵入者/Mist Intruder》とか、嚥下がどの程度うまく機能するかで全く評価の変わるカードは、うまく機能する前提で評価することにした。なのでセットのメカニズムはどれも十分デッキになる前提の評価として見てほしい。環境解明が進んだら、後で再訪してみたいね。いい味を出してるカードには、忘れずフレイバー評価もつけていくぞ。フレイバードラフト的エラッタもどんどん出していきたい。
 
評価基準
 リミテッド殿堂入り:《群れネズミ/Pack Rat》《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
 
 5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》《隔離の場/Quarantine Field》《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処できなくはない。 《破滅の道/Ruinous Path》《マラキールの解放者、ドラーナ/Drana, Liberator of Malakir》《タジームの守護者/Guardian of Tazeem》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。 《ヴァラクートの暴君/Tyrant of Valakut》《乱動の噴出/Roil Spout》《ニッサの裁き/Nissa’s Judgment》

 3.5点 トップコモンや強力なアンコモン。 《忘却の一撃/Oblivion Strike》《孤立領域/Isolation Zone》《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。 《水底の潜入者/Benthic Infiltrator》《虚空の接触/Touch of the Void》《忍び寄りドローン/Stalking Drone》

 2.5点 まず抜けることのないカード。 《探検の猛禽/Expedition Raptor》《マキンディの飛空士/Makindi Aeronaut》《ジュワー島の報復者/Jwar Isle Avenger》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。 《コジレックの組み換え/Kozilek’s Translator》《霞の徘徊者/Murk Strider》《コーの鎌使い/Kor Scythemaster》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。 《アーファの守護者/Affa Protector》《末裔の呼び出し/Call the Scions》《淘汰ドローン/Culling Drone》

 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。 《回収ドローン/Salvage Drone》《膨れ鞘/Blisterpod》《まばゆい反射/Dazzling Reflection》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。 《間欠泉の忍び寄り/Geyserfield Stalker》《自然のままに/Natural State》《破壊的陥没孔/Consuming Sinkhole》

 0.0点 役立たず。 《面晶体の連結/Hedron Alignment》《ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatch》

 
《永遠の見守り/Always Watching》
 リミテッド4.5点
 白得意のトークン戦略と噛み合わないテキストだけど、相当ぶっ飛んでる性能だ。トークンも強化されたら更に酷いことになってたね。サイズが強化されるだけでなく、強くなった自軍が攻守両方を同時にこなせるようになる。トークンより普通のクリーチャーを気持ち優先するとか、多少は考えてやっていいと思うけど、強くない場面が想像できない。
《救出の天使/Angel of Deliverance》
 リミテッド2.5点
 環境の速さが分からないと、こういうカードの強さを見極めるのは難しい。パッと見た印象では、8マナを気軽に採用できるほどゆっくりな環境ではなさそうだから、何か工夫をして8マナまで伸ばすことを前提に評価する事になる。守備的な布陣とマナ加速を組み合わせることになると思うけど、頑張って唱えるところまでもっていけば、後は殺戮マシーンになってくれることだろう。8マナダブルシンボルくらい揃える頃には、多分昂揚もきっと達成できているんじゃないかな。これから毎日クリーチャーを破壊しよう!プレイヤーや戦闘限定でなく、どんなダメージが入ったときでも誘発するって書いてあるから間違わないようにね。
《天使の粛清/Angelic Purge》
 リミテッド3.0点
 序盤~中盤にかけては、白の優秀なトークン生成を頼りに撃つことになるのかな。で、終盤は土地を生贄にすればいい。結構優秀な除去な気がする。欠点は何も考えず枚数を集めていいカードじゃないってところか。安定して使いこなせるよう、デッキを組んでやりたい。一番重くても4マナ程度の前のめりなデッキで使えば、追加コストも苦にならないはず。あたかもシンプルな確定除去のように使えるだろう。青白や白緑なら、豊富に手に入る手掛かりを生贄にすればいい分使いやすそうだ。
 
 とにかく効果は垂涎モノなので、デメリットを何とかするよう、考えて立ち回ろう。先輩にあたる《骨の粉砕/Bone Splinters》っぽいところからも察せる通り、取り扱いに気を付けるべきカードだ。骨の粉砕は、デッキによっては入れたくないレベルだったり、超強力除去だったりしたのを思い出してほしい。クリーチャーの代わりに土地も生贄にできるようになったのは、骨の粉砕にはない強みだと思うから、とりあえず今の段階では中々の除去と見ているよ。
《薬剤師の霊/Apothecary Geist》
 リミテッド2.5点
 他にスピリットが全く入っていないデッキでもまあ採用できる性能。スピリットだらけのデッキなら最高だ。間を取って、前ブロックでよく働いてくれた《グリフィンの急使/Courier Griffin》より少し弱いくらいの評価だろうか。
《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn》//《浄化の天使、アヴァシン/Avacyn, the Purifier》
 リミテッド5.0点
 フレイバー部門優勝(ストーリーを読まなくても、この裏表だけで伝わる物語性が素晴らしい)

 あまりに冒涜的なアヴァシンの強さを見てしまったプレイヤーの皆さんはSANチェックです。考えてほしい。まず裏側なんてなくてもぶっ壊れた強さだし、破壊不能云々のテキストがなくてもまだまだ驚嘆に値する。警戒だってなくて平気だ。それに瞬速と飛行を取り上げて、ようやく人並みの強さに落ち着く。今、一体どれだけの能力を剥ぎ取ったか数えてみたかな?さて、この4/4バニラと化したアヴァシンに今度は能力をぺたぺた貼り付けてみよう。戦わなくちゃ、現実と。
 
 アヴァシンが来た、見た、勝った。破壊不能の戦闘で蹂躙した上、4/4飛行警戒のクリーチャーが残る。アヴァシンが来るのを察して攻撃しなかったとしても、ターン終了時に颯爽と舞い降りて殴りかかられるのを防ぐことはできない。アヴァシン本人を無視しようとしても、取り巻きが1体死んだだけで更に強化されてしまう。無料で《火炎崩れ/Flamebreak》がついてきて、しかも都合のいいことに、本人とコントローラーは巻き込まれない。さすが白様完璧で幸福です。まあいかにアヴァシンが壊れてるとか、いちいち説明されなくても見れば分かると思うんだけど、壊れっぷりを語るのもたまにはいいんじゃない?
《アヴァシン教の宣教師/Avacynian Missionaries》//《月皇の審問官/Lunarch Inquisitors》
 リミテッド2.5 // 3.0点
 装備がなきゃ布教のできないただの《丘巨人/Hill Giant》止まりで、使えなくはないものの凡庸な性能だ。でも装備があれば、4/4の《放逐する僧侶/Banisher Priest》に変貌する、その様はまさにスペインの異端審問官。変身後の性能が中々素晴らしいので、変身のため、そこそこ程度の性能でも装備を入れるのも悪くないと思うよ(特に宣教師が2枚以上取れたら真剣に検討しよう)。
《月銀の拘束/Bound by Moonsilver》
 リミテッド4.0点
 2番目の能力がなくても、3マナの《平和な心/Pacifism》として3.5点くらいの強さはある。後からエンチャント先を変えられるのは、実に強力かつ柔軟。各所で引っ張りだこになるだろう。ただ起動型能力は止まらないので、そこは気を付けよう。
《往時の主教/Bygone Bishop》
 リミテッド3.5点
 まず3マナ2/3飛行の時点でかなり強い。手がかりの方はちょっと未知数だけど、無理なく使えて実に嬉しいと思う。まあ後半慌ただしくなってくると、手がかりより盤面が気がかりになると思う。とにかく単純に手がかりが2倍手に入れば2倍強いとか、言い切ることはできないが、《天使の粛清/Angelic Purge》用の餌を供給してくれるし、優秀なドローエンジンだと思って良さそうだ。
 いやぁ、それにしても何回手がかりって言ったかな。
《聖戦士の相棒/Cathar’s Companion》
 リミテッド2.0点
 スピリットトークンやら何やらがばら撒かれる環境では、AIBOくらいの性能を発揮するのが関の山じゃなかろうか。自衛用の能力を内蔵してるから、前のめりなデッキで破壊不能を付けれる分には申し分のない働きをしそうだ。インスタント多めにしないと頼りなく思うかもしれないけど、マナと一緒に立たせておいて、抑止力として使うのも悪くない。
《司祭の祈り/Chaplain’s Blessing》
 リミテッド0.5点
 一瞬チャピン(Patrick Chapin)の祈りに見えたけど、グリクシスでもないしカードを引くというテキストもなかったからそんなはずはなかった。頭のイカれたビートダウンに直面したら、お祈りメール的に使ってやってもいいかもね。
《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar》
 リミテッド3.0点
 後半1/1飛行として再利用できる3/2クリーチャーが優秀でないはずがない。3/1バニラとかより、こういう戦死を遂げた後も役に立つ戦士を採用していきたい。特に何をするでもなく2:1交換できるのは素晴らしい。
《石の宣告/Declaration in Stone》
 リミテッド3.5点
 確定除去なら、相手にカードを進呈するだけの価値がある。構築じゃそうはいかないかもしれないけどね。リミテッドの速度的に、手がかりはいずれドローに変換されてしまうだろうけど、前のめりに組んでドローの隙を与えないようにすると、最大限強みを引き出せるというもの。トークンデッキに対しては効果的だし、たまに複数体を石にしてしまうことができるのも非常にいい感じだ。
《罪人への急襲/Descend upon the Sinful》
 リミテッド4.5点
 フランス語版3.0点

 6マナでただの全体除去程度だと、あんまり食指が動かない。それでも強いけどね。一方、6マナで場を流した後に4/4飛行が残るなら、セット内でも屈指の強カードに化けるから、昂揚が達成できるよう頑張ろう。無理せず2回に1回達成できるくらいの確率でも、十分価値があるよ。
 
 フランス語版はカード名で、Pécheurs(罪人)となるべきところが、Pêcheurs(漁師)になってるんだ。イニストラードにそんな漁師が多いとは思えないし、とばっちりで漁師が急襲されて罪人が野放しになるんじゃ、点数が下がっても仕方ないよな!
《悪魔の棲家の狐/Devilthorn Fox》
 リミテッド2.0点
 頭でっかちのタフ1はあまり好みじゃないんだが、軽いからとれば大概デッキに入るだろう。タフネス1を咎められるようなカードを見たら、あまり不安がらずサイドアウトしてしまおう。
《ドラグスコルの騎兵/Drogskol Cavalry》
 リミテッド3.5点
 出して即除去されずにターンが帰ってきたら、騎兵の名に恥じない暴れっぷりを見せてくれることだろう。8マナあれば毎ターントークンを2体出せて、ライフ4点までついてくる。ダメージレースにはとてもならないんじゃないかな。平然と7マナのカードを入れていい環境ではないと思うけど、フラッシュバック的な効果や手がかりを見るに、あまり土地を切り詰める環境には見えないから、然るべきデッキで使えば4.0点級の活躍をすると思う。

テゼレットの憂鬱
テゼレットの憂鬱
◆ 最近翻訳以外で更新してないけど普通に記事も書くよ!
 
 
 ミラディン包囲戦の、《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》というカードをご存知でしょうか。
 
 こいつは英語だと
 Tezzeret, Agent of Bolas
 (テゼレット 工作員 ボーラスの)
 
 という名前なわけですが、スペイン語・ポルトガル語のカード名を見ると
 
 Tezzeret, agente de Nicol Bolas
 Tezzeret, Agente de Nicol Bolas

 
 原文にはなかった「ニコル」がついています。わざわざフォントを小さくしてまで「ニコル・ボーラスの工作員、テゼレット」と書いているのです。
 
 なぜでしょうか?
 
 スペイン語とポルトガル語において、Bolasとは英語でいうBall(ボール)の複数形のこと。deは英語でいうofに近い、「~の」の意味です。
 ボールの複数形……玉が2つ……あっ
 
 先輩こいつタマとか言い出しましたよ?
 
 
 万が一にも偉大なるエルダー・ドラゴンのPWであるボーラス様が、淫夢ネタいわれなき風評被害を受けないため、翻訳チームが機転を効かせて「ニコル・ボーラスの工作員」としたわけですね!(推測ですが)
 翻訳チームGJ!
 
 日本語でも、珍名としてスケベニンゲン(オランダ)やエロマンガ島(バヌアツ)などが有名だったりしますね。
 
 イメージ的には
 「初の東京駐在フィンランド大使、アホカス大使」
 「初の東京駐在フィンランド大使、ヴィルヨ・アホカス大使」
 この2つを対比してみた印象に近いでしょうか。  (ちなみに実在の人物です↓)
 http://www.finland.or.jp/public/default.aspx?nodeid=41331&contentlan=23&culture=ja-JP
 
 
 
 ちなみに上のballs系のネタだと、英語の標識が有名だったり
 http://www.burnabrain.com/balls-removed/
 
 ゴルフ場でプレイせずにゴルフボール集めたら、訴えるしボールも没収するぞ!(大雑把)
 という意味で、別に問題なく理解はできるのですが、意味深な読み方ができてしまう英文に仕上がってしまったのでした
 
 "...prosecuted and have their balls removed."
 (起訴され、タマを除去される)
 
 
 
 日々、翻訳者は頑張っています。
【翻訳】イニストラードを覆う影から、狼男のプレインズウォーカー、アーリン・コードを紹介! by LSV
◆ 【翻訳】イニストラードを覆う影から、狼男のプレインズウォーカー、アーリン・コードを紹介! by LSV
 
 A Werewolf Planeswalker! Arlinn Kord of Shadows over Innistrad
 
 By Luis Scott-Vargas 2016年3月15日

 http://www.channelfireball.com/articles/a-werewolf-planeswalker-arlinn-kord-of-shadows-over-innistrad/
 
 イニストラードといえば両面カード。両面カードといえばということで、2枚目の両面プレインズウォーカーが登場だ!《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》・《ヴェールの呪いのガラク/Garruk, the Veil-Cursed》は滅茶苦茶格好いいカードだったし、実際にゲーム上でも有能で良かった。でもそんなガラクも、パワーがはるかに増す変身は一回きりだった。
 
 今日紹介するアーリン・コードはその変身をあと何回も残している……人間 - 狼男 - 人間みたいに変身できるんだ。まあまずはご尊顔を拝むこととしよう。
 
 《アーリン・コード/Arlinn Kord》
 《Arlinn, Embraced by the Moon》

 
 なんと、アーリン・コードは能力を5つも持ったプレインズウォーカーだったのだ!早くも《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》に勝る点を発見してしまったぜ。最初からお品書きの全てを選択できるわけじゃないが、変身につながる能力があって、それを使うことで表と裏を行き来できる。数ターンにわたって戦略的に能力が使えってことだね。
 
 まずは表の人間モードを見てみてよう。
 
 [+1]:最大1体までのクリーチャーを対象とする。ターン終了時までそのクリーチャーは+2/+2の修正を受けると共に警戒と速攻を得る。
 
 強力なプラス能力だと思う。速攻だけでなく修正が入るおかげで、多少サイズ負けしていても攻撃に行ける。一緒に警戒もつくから、攻撃面だけでなく防御面でも恩恵のある能力ということだね。クリーチャーが必要という前提条件はあるものの、押している状況でも押されている状況でも力になってくれる能力だと思うよ。
 
 [0]:2/2の緑の狼・クリーチャー・トークン1体を戦場に出す。アーリン・コードを変身させる。
 
 上のプラスと合わせると、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》と似たものを感じるね。念のため言っておくが、これはかなりの褒め言葉だよ。初代エルズペスはモダンでも見かけるくらい、歴代の面々と比較しても最強クラスのプレインズウォーカーだ。4マナのプレインズウォーカーで、クリーチャー強化したり2/2を出せたりするのは実に素晴らしい。そこに変身ギミックが加わるのがアーリンの売りだ。
 
 では裏面の狼男モードを見てみよう。
 
 [+1]:あなたのコントロールする全てのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修正を受けると共にトランプルを得る。
 
 狼を出して、小規模《踏み荒らし/Overrun》につなげる。攻め戦略としては上々。こちらが優勢なときにはとことん強い能力だ。更にこれはプラス能力だから、単なる肉弾戦での優位に加え、プレインズウォーカーという違う角度からもプレッシャーをかけることになる。相手は強化されたクリーチャーの猛攻で死なないように立ち回りつつ、何とかして奥義に到達するのを防がないといけない状況に追い込まれる。
 
 [-1]:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。Arlinn, Embraced by the Moonはそれに3点のダメージを与える。Arlinn, Embraced by the Moonを変身させる。
 
 なんといっても一番の目玉はこれ。稲妻相当の火力を放つのは、プレインズウォーカー能力の中でも最高クラスだ。それがたったマイナス1で使えるとは素晴らしい。制約上連発はできないから複数ターンにわたって使うことになるけど、これだけ忠誠値消費が少ないと複数回使うのも難しくないだろう。この能力を使うと表面に戻ってしまうから、使えるのは2ターンに1回になるけど、きっとフレーバー的な理由だろう。人が雷に撃たれる確率は1000万分の1だそうだから、そう都合よく2回連続落とせなくても仕方がないよね!嬉しい点として、表を経由するということは、狼を出して身を守れるということでもある。忠誠度を上げる必要が出てくるまで、気長に3点ダメージをばらまけばいい。
 
 狼と稲妻を交互に使うだけでも十分強力だと思うけれど、クリーチャー強化の面も選択肢にあるのが可能性を広げていてよろしい。とはいえいかにより多くの稲妻を使えるかがカギになる展開が多いと思う。
 
 [-6]:あなたは「あなたがコントロールするクリーチャーは速攻を得ると共に『(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このクリーチャーはそれにこれのパワーに等しい値のダメージを与える。』を持つ。」という紋章を得る。
 
 おっ、二重鉤括弧登場とは珍しいね。永続的に使える、一方的な暴力をふるう権利を自軍にプレゼント。奥義にふさわしい派手で強力な能力だね。
 
 お品書きは以上。色々なデッキで使われるだけのカードパワーと柔軟性を備えているといっていいだろう。ひょっとするとスタンダード以外の環境でも活躍できるかもしれない。
 
 存分に暴れるためにはお供がほしいので、まずはクリーチャー多めのデッキで試してみるのが自然だろう。パッと思いつくのは、5つ全ての能力がかみ合う赤緑ビートダウン的なデッキだろうか。クリーチャーが引けないときは狼を出せるし、マイナスで敵を排除し、必要なら自軍を強化することでフィニッシャーにもなる。
 
 赤緑といえばアタルカレッドだけど、アタルカレッドは《軍族童の突発/Hordeling Outburst》を中心に失うパーツが多い。ローテーション後、マナカーブの頂点をアーリンに任せてみるというのはどうだろう。トークンに寄せたデッキなら《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》の方が爆発力があるかもしれないけれど、軍属童の突発なしでは、そこまで大量のクリーチャーを並べるのは難しい気がする。アーリンなら単体でも強力だし、ミッドレンジやコントロールを相手にするとき是非欲しい性能だと思う。
 
 クリーチャー強化のことを考えないとしても、狼を出しつつ稲妻を撃てる。都合のいいことに自分で出した狼を強化までできるので、単体で完結しているといっていいだろう。コントロールが手を焼くことになりそうだ。消耗戦でうまく立ち回りつつ、有利な盤面を維持する。ジャンドみたいなデッキで使うのがいいと思うね。
 
 間違いなく構築級だと思う。いろいろなデッキで顔を見ることになるんじゃかろうか。変身要素も含めて、これだけ多彩な能力を備えたプレインズウォーカーをどれだけうまく使いこなすか、使われた場合にどう対処するか、楽しみだね。複雑なカードだけど、構築の常連になりそうだ。最後に一つ。個人的に思うことだけど、初の両面を行き来できるプレインズウォーカーとして、最高にイカしたカードに仕上がっていて素晴らしいと思う。ガラクは情け知らずだったかもしれないが、アーリンは情けをかけるか、それとも捨てるか、自分の意志で切り替えることができるんだ。
 
 
 
 LSV
 
 
 
 訳注:日本語訳は下記記事から引用させていただきました。
 『イニストラードを覆う影』スポイラー:表と裏を行き来しながら戦う赤緑のPWアーリン・コード
 http://www.izzetmtgnews.com/archives/15630
◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い ピック順位表
 
 A Pick Order List for Oath of the Gatewatch Draft
 
 By Frank Karsten 2016年2月9日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-oath-of-the-gatewatch-draft/
 
 
序盤に取りたい強カード
 《オンドゥの戦僧侶/Ondu War Cleric》
 《終止符のスフィンクス/Sphinx of the Final Word》
 《頭蓋ふるい/Sifter of Skulls》
 《巨岩投下/Boulder Salvo》
 《タジュールの道守/Tajuru Pathwarden》
 《姿を欺くもの/Deceiver of Form》
 《廃集落/Corrupted Crossroads》
 《探検の猛禽/Expedition Raptor》
 《難題の予見者/Thought-Knot Seer》
 《次元潜入者/Dimensional Infiltrator》
 《制止エルドラージ/Immobilizer Eldrazi》
 《遺跡潜り、ジョリー・エン/Jori En, Ruin Diver》
 《世界を壊すもの/World Breaker》
 《ヴァラクートの暴君/Tyrant of Valakut》
 《竜巻の種父/Cyclone Sire》
 《吸血鬼の特使/Vampire Envoy》
 《思考刈り/Thought Harvester》
 《永代巡礼者、アイリ/Ayli, Eternal Pilgrim》
 《末裔招き/Scion Summoner》
 《抵抗者の居住地/Holdout Settlement》
 《ベイロスの虚身/Baloth Null》
 《野生生まれのミーナとデーン/Mina and Denn, Wildborn》
 《岸壁安息所の吸血鬼/Cliffhaven Vampire》
 《本質を蝕むもの/Essence Depleter》
 《作り変えるもの/Matter Reshaper》
 《鋭い突端/Needle Spires》
 《風切る泥沼/Hissing Quagmire》
 《さまよう噴気孔/Wandering Fumarole》
 《面晶体の這行器/Hedron Crawler》
 《復興の壁/Wall of Resurgence》
 《反射魔道士/Reflector Mage》
 《ドラーナに選ばれし者/Drana’s Chosen》
 《コジレックの大口/Maw of Kozilek》
 《未知の岸/Unknown Shores》
 《目潰しドローン/Blinding Drone》
 《林鹿騎兵隊/Gladehart Cavalry》
 《惨状蒔き/Havoc Sower》
 《コジレックの帰還/Kozilek’s Return》
 《産み落とす巨体/Birthing Hulk》
 《歪みの預言者/Prophet of Distortion》
 《ジュワー島の報復者/Jwar Isle Avenger》
 《崩壊する痕跡/Crumbling Vestige》
 《執拗な狩人/Relentless Hunter》
 《真実を覆すもの/Inverter of Truth》
 《無謀な奇襲隊/Reckless Bushwhacker》
 《鞭打ちドローン/Flayer Drone》
 《乱動の握撃/Grip of the Roil》
 《抑圧的支配/Press into Service》
 《封止の被膜/Containment Membrane》
 《鑽火の輝き/Immolating Glare》
 《ジョラーガの援軍/Joraga Auxiliary》
 《嵐追いの魔道士/Stormchaser Mage》
 《虚空を継ぐもの/Void Grafter》
 《海門の残骸/Sea Gate Wreckage》
 《戦慄の汚染者/Dread Defiler》
 《ゼンディカーの復興者/Zendikar Resurgent》
 《現実の流出/Reality Hemorrhage》

 
 パックがあまり強くなければ、ここに挙げたカードのどれかをピックすることになると思う。環境は中々高速なので、いきなり6~7マナのカードに手を出すのには勇気がいる。とはいえ今回、コモンで5マナ以上のカードはそれほど多くない。どの色にも大体、コモンの5マナクリーチャーは1種類いるだけなので、後半戦の主力にしたい、重い強いクリーチャーがいないデッキを数多く見てきた。なので強ければ7マナのレアなどを初手でとっても許されると思う。
 
 《難題の予見者/Thought-Knot Seer》や《作り変えるもの/Matter Reshaper》は、《現実を砕くもの/Reality Smasher》や《終末を招くもの/Endbringer》、《姿を欺くもの/Deceiver of Form》などと比べると少し見劣りする。ゲーム序盤に安定して無色マナを捻出するのは難しいというのが主な理由だ。ターンを重ねて何とか5,6ターン目に無色を出せるという程度なら、単純なマナレシオやコストパフォーマンスより、純粋な強さを考えた方がいい。
 
 生きた色シグナルとでもいうべき、例えば《岸壁安息所の吸血鬼/Cliffhaven Vampire》などの多色アンコモンは、どれも専用デッキで使うと鬼のように強い。ただ覚えておいてほしいのは、パックが弱く、1-1で多色のカードを取ったからといって、その色一直線に決めてしまわないようにしたい。たとえば岸壁安息所の吸血鬼を取ったから、白や黒を少し高めに評価するというのは構わない。だが吸血鬼が取れているからといって、《巨岩投下/Boulder Salvo》を流して《戮力協心/Shoulder to Shoulder》を取る、というのは避けたいところ。ドラフト序盤は柔軟に、流れている色を見て、不用意に選択肢を狭めてしまわないようにしよう。多色のカードなら色マナをサポートできるカードを拾って、どちらかの色をタッチして使うという手もある。
 
 コモン土地では、中盤安定して使える《抵抗者の居住地/Holdout Settlement》が一番好みだ。ただし居住地1枚目をピックした後、2枚目の居住地と《未知の岸/Unknown Shores》や《崩壊する痕跡/Crumbling Vestige》が同時にパックにあったなら、まだ取っていない土地を取る。その方がゲーム中、土地の置き方など戦略に幅が出る。
 
 《コジレックの大口/Maw of Kozilek》は、環境を読み切ったサイズをしている強クリーチャーだ。タフネス5はブロック時本当に頼もしい。立っているこいつに躊躇なく突っ込んでこれるクリーチャーはほとんどいないので、出しておけばまず安心だ。更にダメージレース時には、4点殴り返して形勢逆転にも貢献する。
 
 表を見ればわかってもらえると思うが、青最強のコモンである《目潰しドローン/Blinding Drone》(青をやるとき、無色マナがいかに重要か伝わるだろうか)が、他色の2番手のコモンより下に位置付けられている。私が個人的に青があまり好きでないというのと、青いカードが全体的に力不足気味なのが原因だ。
 
 《抑圧的支配/Press into Service》は、最近刷られた《反逆の行動/Act of Treason》系カードの中でも相当やり手。メキシコシティで知ったのだが、支援は相手のクリーチャーにもカウンターを載せることができる。支援が自軍限定だと思い込んでいたし、使っていたカードがスペイン語だったせいもあってわざわざ確認しなかった。そのとき状況だが、こちらにはクリーチャーが1体しかいなかったので、カウンターは1つ載せて相手のライフを1まで削ったのだが、実は奪うクリーチャーに載せることもできた。そうすれば勝っていたという話だね。
 
 コモンに数種類、ほぼ確定除去と言い切ってしまってもいい除去があるので、条件付きの除去の価値はかなり落ちる。たとえば《鑽火の輝き/Immolating Glare》は攻めるデッキだと使いにくかったり、《現実の流出/Reality Hemorrhage》は対処できるサイズにかなり難がある。除去は除去なので、中堅クリーチャーなどよりは優先するが、微妙な除去よりは強いクリーチャーをデッキに入れたい。
中堅どころ
 《同盟者の援軍/Allied Reinforcements》
 《草原の滑空獣/Steppe Glider》
 《鞍背ラガーク/Saddleback Lagac》
 《コーの空登り/Kor Sky Climber》
 《コーの鎌使い/Kor Scythemaster》
 《ゴブリンの自在駆け/Goblin Freerunner》
 《忍び寄りドローン/Stalking Drone》
 《殺戮ドローン/Slaughter Drone》
 《戮力協心/Shoulder to Shoulder》
 《精神溶かし/Mindmelter》
 《落とし子縛りの魔道士/Spawnbinder Mage》
 《武器の教練者/Weapons Trainer》
 《溶滓のへリオン/Cinder Hellion》
 《コジレックの叫び手/Kozilek’s Shrieker》
 《アクームの炎探し/Akoum Flameseeker》
 《水脈の乱動/Roiling Waters》
 《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》
 《耕作ドローン/Cultivator Drone》
 《重力に逆らうもの/Gravity Negator》
 《次元の歪曲/Spatial Contortion》
 
 《異常な忍耐/Unnatural Endurance》
 《イトグモの蔦/Vines of the Recluse》
 《森林の地溝/Timber Gorge》
 《燃え殻の痩せ地/Cinder Barrens》
 《曲がりくねる川/Meandering River》
 《水没した骨塚/Submerged Boneyard》
 《平穏なる広野/Tranquil Expanse》

 
 マナカーブを整えたり、軽量コンバットトリックなどが名を連ねている。コンバットトリックは1マナのが、展開しつつ使える利点が大きいので優先したい。今回の除去はソーサリータイミングのものが多いので、コンバットトリックに対応して除去を合わせられ、2:1交換を取られることが少ない。相対的にコンバットトリックが強い環境といっていいだろう。
 
 《水脈の乱動/Roiling Waters》と《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》はカッコイイが、如何せん効果の割に重すぎるというのが正直なところ。
 
 2色土地は、初手的には多色カードを取っているようなものなので、評価は低めにしてある。しかし色を決めた後、自分のデッキにあった色の土地が流れてきたら、私はかなり優先して取るようにしている。各色の最強コモンと同格くらいには見てやっていい。


 《マキンディの飛空士/Makindi Aeronaut》
 《ウマーラの絡め捕り/Umara Entangler》
 《網投げ蜘蛛/Netcaster Spider》
 《空の探索者/Sky Scourer》
 《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
 《コジレックの先駆者/Kozilek’s Pathfinder》
 《無情な処罰/Remorseless Punishment》
 《アーファの守護者/Affa Protector》
 《掃き飛ばし/Sweep Away》
 《予見者のランタン/Seer’s Lantern》
 《形状の管理人/Warden of Geometries》
 
 《壌土の幼生/Loam Larva》
 《コジレックの組み換え/Kozilek’s Translator》
 《粗暴な幻視/Visions of Brutality》
 《岩屋の装備役/Stone Haven Outfitter》
 《模範提示/Lead by Example》
 《古代ガニ/Ancient Crab》
 《収穫トロール/Harvester Troll》
 《ベイロスの仔/Baloth Pup》
 《タールの罠/Tar Snare》
 《焼尽の光/Searing Light》
 《隊長の鉤爪/Captain’s Claws》
 《空間の擦り抜け/Slip Through Space》
 《搾取ドローン/Reaver Drone》
 《凶暴な力/Brute Strength》
 《虚身呼び/Null Caller》
 《力強い跳躍/Mighty Leap》
 《攻性エルドラージ/Eldrazi Aggressor》
 《ズーラポートの鎖魔道士/Zulaport Chainmage》
 《石鍛冶の傑作/Stoneforge Masterwork》
 《ジェイスの誓い/Oath of Jace》
 《梢喰らい/Canopy Gorger》
 《火花魔道士の計略/Sparkmage’s Gambit》
 《抗戦/Make a Stand》
 《促進/Expedite》
 《荒地/Wastes》
 《カズールの徴収者/Kazuul’s Toll Collector》
 《虚空の粉砕/Void Shatter》
 《荒地を歩くもの/Walker of the Wastes》
 《紅蓮術師の突撃/Pyromancer’s Assault》
 《ヴァラクートの涙/Tears of Valakut》
 《大自然の反撃/Elemental Uprising》
 《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
 《ギデオンの誓い/Oath of Gideon》
 《まばゆい反射/Dazzling Reflection》

 
 このカテゴリー、特に下半分のカードは、活躍できる場面が限定的だったり、重たかったりといった理由であまり好きでない。
 
 《ズーラポートの鎖魔道士/Zulaport Chainmage》は、2マナと相討ちになってしまうサイズが実に残念。《巨大ゴキブリ/Giant Cockroach》にちょっとした能力がついているくらいでははっきり力不足。ゴキブリといえば、どっちかというと《殺戮ドローン/Slaughter Drone》のが、見た目が似ていると思うのだがどうだろう。
 

 《石鍛冶の見習い/Stoneforge Acolyte》
 《闊歩するものの装具/Strider Harness》
 《甲殻の外套/Chitinous Cloak》
 《歪める嘆き/Warping Wail》
 《終末の目撃/Witness the End》
 《比較分析/Comparative Analysis》
 《一致団結/Unity of Purpose》
 《イオナの祝福/Iona’s Blessing》
 《否認/Negate》
 《骨の鋸/Bone Saw》
 《残された廃墟/Ruin in Their Wake》
 《難解な干渉/Abstruse Interference》
 《屍体の攪拌/Corpse Churn》
 《荒々しい渇望/Untamed Hunger》
 《自然のままに/Natural State》
 《圧倒的な否定/Overwhelming Denial》
 《牙の贈り物/Gift of Tusks》
 《死すべき定め/Bonds of Mortality》
 《破壊的陥没孔/Consuming Sinkhole》
 《ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatch》
 《面晶体の連結/Hedron Alignment》

 《骨の鋸/Bone Saw》だが、使ってみるとクセになる、実は味のあるスルメのようなカードなのかもしれない。14手目に回ってくる程度のカードではあるものの、回避能力多めの青赤怒涛デッキや、赤白装備デッキでなら採用の可能性がある。手堅くカード1枚分の仕事をするカードで固めた方が私は好きだが、まだ完全に環境が解明されたわけではない。
 
 ここまで読んでくれてありがとう。来週はモダン親和について書く予定だ!
 http://www.channelfireball.com/articles/modern-affinity-deck-guide-the-main-deck/
◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い ピック順位表
 
 A Pick Order List for Oath of the Gatewatch Draft
 
 By Frank Karsten 2016年2月9日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-oath-of-the-gatewatch-draft/
 
 色の優先度とシナジー
 
 我々の合宿では、白いデッキが一番強く勝率53%、青いデッキが46%で最弱だった。色の組み合わせ的には、白黒同盟者、赤白同盟者、赤緑怪物といったデッキが結果を出すことが多かった。ただ同時に、同じ結論に達したプレイヤーの多くがプロツアー本番で白に突撃するのではないか、という懸念も抱いた。流石にそう何人も殺到しては白が混雑してしまう。そして同時に、弱いと思われた青が空くのではないかとも思った。私は空いているなら何色でもやるつもりでいたが、かといって序盤から青いカードを積極的にとりたいというわけではない。青をやるのであれば卓8人のうち、自分を含めて2人くらいがいい。
 
 シナジー重視のセットでないとはいえ、特定の2色で目指すべき戦略と、全体的な評価を知っておくのは有益だ。さらに、戦乱のゼンディカーのカードで評価が変わったものもあるから覚えておきたい。ニール・オリヴァー(Neal Oliver)がとても良い記事を書いているから、まだ見ていなければ是非一読を。
 http://www.channelfireball.com/tag/neals-draft-archetypes/
 (訳注:海外の監視者様が翻訳されています。よろしければ是非。)
 http://mtgoversears.com/
 http://mtgoversears.com/category/%E3%83%AA%E3%83%9F%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89/
 
 ピック順位表
 
 下の表ではややこしいことを考えず、1パック目1ピック目、つまり初手での評価をしている。本当は色の選択などでカードの評価は常に上下するが、初手ということで考えてほしい。ゲーム中の強さに基づいた順位表で、金銭的価値は計算に入ってない。多色のカードは、初手で手を出すと色拘束のせいで柔軟性が失われがちなので、低めにみてある。逆に無色のカードは、色を保留できるため比較的高めにしてある。順位表とはいったけれど、いくつかカテゴリーを設定して間でコメントをつけている。でも、一つの連続したリストとして見てもらっていっこうに差し支えない。
 
(訳注:DNの仕様でテキストになっています。リストを参照するのみであれば、ChannelFireball掲載の元記事にカード画像があるので、そちらがお勧めです http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-oath-of-the-gatewatch-draft/ )

最強格のレア・神話レア
 《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》
 《炎呼び、チャンドラ/Chandra, Flamecaller》
 《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
 《ムンダの先兵/Munda’s Vanguard》
 《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》
 《巨人の陥落/Fall of the Titans》
 《ゴブリンの闇住まい/Goblin Dark-Dwellers》
 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ/Nissa, Voice of Zendikar》
 《現実を砕くもの/Reality Smasher》
 《終末を招くもの/Endbringer》

 ここに挙げたカードは、どんなコモンやアンコモンよりも優先してピックする。どれも単体でゲームを支配できるカードだ。私の傾向として、無色土地を比較的早めに集めるので、大体《終末を招くもの/Endbringer》や《現実を砕くもの/Reality Smasher》などを無理なく使えることが多い。土地を早めに確保すると、無色専用のカードを取ってデッキを無理なく強化しつつ、隣から流れてくるものを吸い込むことができる。
 
トップコモン・アンコモン、優良レア
 《怒りの具象化/Embodiment of Fury》
 《ニッサの裁き/Nissa’s Judgment》
 《タズリ将軍/General Tazri》
 《森の代言者/Sylvan Advocate》
 《食い荒らす炎/Devour in Flames》
 《忘却の一撃/Oblivion Strike》
 《孤立領域/Isolation Zone》
 《闇の掌握/Grasp of Darkness》
 《押し潰す触手/Crush of Tentacles》
 《深水潜み/Deepfathom Skulker》
 《種子の守護者/Seed Guardian》
 《救援隊長/Relief Captain》
 《鏡の池/Mirrorpool》
 《エルドラージの寸借者/Eldrazi Obligator》
 《静寂を担うもの/Bearer of Silence》
 《洞察の具象化/Embodiment of Insight》
 《マラキールの占い師/Malakir Soothsayer》
 《卑小な回収者/Vile Redeemer》
 《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》
 《オラン=リーフの廃墟/Ruins of Oran-Rief》
 《ザダの猛士/Zada’s Commando》

 赤のアンコモンはやり手が多い。《怒りの具象化/Embodiment of Fury》の打点は凄まじいし、《食い荒らす炎/Devour in Flames》の追加コストはむしろ嬉しいことが多い。手札に置く土地がない場合、戻した土地をすぐ出せばマナが浮くし上陸も誘発するというものだ。
 
 ほぼ確定除去のコモン・アンコモンは安定の強さだし、ここに挙げたクリーチャーは強烈な能力持ちが多い。青いカードは、ほんの僅かではあるながら、できれば青という色を避けたいという個人的な心理が手伝って、少し低めに見てある。
 
 《ザダの猛士/Zada’s Commando》は、赤唯一の2マナクリーチャーなので最も優先すべきコモンとした。《巨岩投下/Boulder Salvo》も十分強力だが、赤いデッキは2マナ域が埋まりにくいので狙って取るよう優先している。
 
 《鏡の池/Mirrorpool》と《オラン=リーフの廃墟/Ruins of Oran-Rief》は初手で取っていいカードだと思う。このレア土地2種の能力は超強力なので、いざとなれば18枚目の土地としてデッキに入れてもいい。加えて何色でも使えるので、色選択も保留できる。優良アンコモンやトップコモンには劣るものの、私は結構、初手土地から入るのが好きだ。
◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い ピック順位表
 
 A Pick Order List for Oath of the Gatewatch Draft
 
 By Frank Karsten 2016年2月9日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-oath-of-the-gatewatch-draft/
 
 プロツアー『ゲートウォッチの誓い」のリミテッドに備えて、ルーカス・ブロホン(Lukas Blohon)、ミヒャエル・ボンデ/Michael Bonde、ロビン・ドラー(Robin Dolar)、バルト・ヴァン・エッテン(Bart van Etten)、マーティン・ジュザ(Marin Juza)、トーマス・ヘンドリクス(Thomas Hendriks)、ピーター・ソシュレク(Peter Sochurek)と練習した。15回ほどドラフトをして、平均して2-1くらいの勝率はあったので、自信をもってGPメキシコシティとプロツアーに臨むことができた。実際嬉しいことに、GPメキシコシティは21位と上出来だったし、プロツアーのドラフトは6-0の成績を収めることができた。
 
 さて、環境のカギは何だろうか?簡単に言うと、今回はシナジー重視のアーキタイプドラフト環境ではない。2色でデッキをまとめて、カーブに沿って展開できるようデッキを構築すること、マナ基盤をしっかりさせること、クリーチャーと呪文の比率がどちらかに偏らないようにすることが大事だ。必要以上にあれこれややこしいことを考えないようにしたい。
 
 ドラフトの考え方
 はじめの2手までは、パックの中から一番強いカードを取ろう。「強さ」の評価には、今回掲載するピック順位表が役立つはず。3~5手目までは、僅差であれば既にピックしたカードの色に進もう。でもこだわりすぎて、上から流れてきたオイシイカードを逃さないように。下家にカードを流す際、下が取りそうな強カードの色を覚えておこう。2パック目、流した色は流れてこない可能性が高い。ただ、あまり思考力を色読みに使うのは考え物だと思う。どうも色シグナルは過剰評価されているきらいがある。6~7手目までの取ったカードで2色を決めて、そこから色を絞ろう。1色だけ決めてその色のカードを取り続け、2色目を保留しておくピックも可能だけれど、正確に狙ってやるのは相当難しい。
 
 2・3パック目では、一貫性のあるデッキを作ろう。明らかにピックするカードより強いカードがパックにあっても気にしないように。この段階ではもう、ピック順位表などかなぐり捨てて、激流に身を任せ同化するつもりで流れを感じ取ろう。指針として、下の点を意識して目指したい。
 
 ・2マナクリーチャー4枚
 ・3マナクリーチャー5枚
 ・4マナクリーチャー4枚
 ・5マナ以上のクリーチャー3枚
 ・非クリーチャーの呪文7枚(盤面の膠着を突破できるように)
 ・土地17枚
 
 無色のカード込みのマナ基盤
 
 メインカラーの供給源は8~10枚程度欲しいというのが私の持論だ。特に低マナ域のカードや、ダブルシンボルのカードが多いのなら、それに応じて更に割合を増やしたい。無色のカードを使う場合、どのくらい「銀色」、要するに本当の意味で無色を要求するカードを使うかが基準となると思う。2つほど具体例を検討してみたい。
 例1
 《本質を蝕むもの/Essence Depleter》
 《目潰しドローン/Blinding Drone》
 《次元の歪曲/Spatial Contortion》
 《終末を招くもの/Endbringer》
 例1のデッキは終末を招くもの、本質を蝕むもの、目潰しドローン、次元の歪曲入りの青黒デッキだ。この4種の中では終末を招くものと次元の歪曲が、唱えるためにも無色を要求するので、最もマナ基盤を圧迫する。この4枚を使うのであれば、私なら5枚は無色マナ源がほしい。下のような17枚の土地配分ができるといいと思う。
 7:《沼/Swamp》
 6:《島/Island》
 1:《抵抗者の居住地/Holdout Settlement》
 1:《未知の岸/Unknown Shores》
 1:《崩壊する痕跡/Crumbling Vestige》
 1:《荒地/Wastes》

 それに土地ではないが、《耕作ドローン/Cultivator Drone》《予見者のランタン/Seer’s Lantern》
 色マナを数える際、コモンの無色土地、つまり抵抗者の居住地、未知の岸、崩壊する痕跡は、それぞれ3分の2程度の色マナ源として計算するようにしている。3分の2とみなした私の計算では、上のマナ基盤は黒9、青8、無色5ということになる。これだけあれば安心していいだろう。逆に無色マナ供給源が4枚しかないなら、不安を感じる。
 
 ドラフトで黒や青を選んで、1パック目で無色を要求するカードに手を出したなら、1パック目終了時点で2枚、2パック目終了時点で4枚は無色マナ供給源を確保すること。できないのであれば、無色のカードは使うことをあきらめた方が無難だ。すっぱり諦めた方が、無理矢理突き進んで無残なマナ基盤のデッキを組むよりいいだろう。
 
 コモン土地といえば、無色を追求する中で抵抗者の居住地、未知の岸、崩壊する痕跡の3種を集めると、メイン以外の色の供給源にもなる。それに加えて《燃え殻の痩せ地/Cinder Barrens》を取ったとか、山を1枚仕込むのを厭わないのであれば、《巨人の陥落/Fall of the Titans》のような爆弾レアをタッチで仕込むことも容易だ。マナ基盤万歳!
 
 
 例2
 《コジレックの大口/Maw of Kozilek》
 《制止エルドラージ/Immobilizer Eldrazi》
 今度はコジレックの大口と、制止エルドラージが1枚ずつ入っている赤緑のデッキで、能力の起動にだけ無色マナが必要な場合を考えたい。この場合、無色マナ源は2枚程度あれば十分だろう。唱えるのに無色を要求しないカードのみで構築する場合、できれば《荒地/Wastes》は入れたくない。荒地をサーチできる《進化する未開地/Evolving Wilds》や《壌土の幼生/Loam Larva》がいたとしても、使えれば嬉しい程度の能力のために、メインの色である赤や緑の安定性を犠牲にするのは良くない。下のようなマナ基盤だといい感じだ。
 7:《山/Mountain》
 7:《森/Forest》
 1:《燃え殻の痩せ地/Cinder Barrens》
 1:《抵抗者の居住地/Holdout Settlement》
 1:《繁殖苗床/Spawning Bed》
 総じて、色安定と無色マナから得られる恩恵は、天秤にかけた上で選択しなくてはいけない。毎回ドラフトでは5枚程度《荒地/Wastes》が出る計算だが、荒地は弱いカードなので、あまり早めに手を出すべきではないと思う。しかし、無色を出しつつ色マナも出るコモン土地は色マナを圧迫しないので、早期から確保する価値がある。
◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール・チーム・パンテオンの使ったジャンド
 
 The Pantheon Deck Tech: Jund
 
 By Reid Duke 2016年2月日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/the-pantheon-deck-tech-jund/
 
 昔ながらの手堅いデッキ。
 
 もう長いこと、モダンのジャンド(黒赤緑)に手ごたえを感じられない日々を過ごしていた。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》が禁止されて以来、ジャンドはモダンのデッキらしい、単純な強さを失ってしまっていた。依然として十分戦うことはできるし、対策すれば特定の相手には勝つことができる。しかしここ数か月ジャンドを使っていて思ったのは、一つのトーナメントに限定しても、あまりに多様な戦略への対処を求められるということで、ジャンドは今や、いつ完全に凋落してもおかしくない、苦しい状況だと感じていた。
 
 そのような状況とはいえ、モダンジャンドはもう創業何年も経つ老舗だ。モダン環境に激震が走るたび、もう一度検討する価値のあるデッキといえるだろう。《欠片の双子/Splinter Twin》デッキはジャンドにとって有利なことが多かったので、今回の禁止改訂がジャンドにとって福音になるとは思えなかったが、とにかく試してみることにした。
 
 そしてなんと、こんなに驚いたことはないと言っていいくらい驚嘆する結果となった。ジャンド有利のゲームはとても多く、特にプロツアーの仮想敵と定めたデッキの多くに対して有利だったのだ。なぜ、《欠片の双子/Splinter Twin》と《花盛りの夏/Summer Bloom》の禁止が、ジャンドにとって有利に働いたのか?考えてみたところ、4つほど理由を思いついた。
 
 ・ジャンドにとって、アミュレット・ブルーム(Amulet Bloom)相手の対戦は超不利だった。
 ・禁止によって、多少なりとも環境全体のカードパワーが低くなった。
 ・双子デッキは一般的に、他のコンボ相手に強く、まっとうな戦略で攻めてくる「フェアデッキ」が苦手だった。双子がいなくなった以上、アブザンやグリクシスコントロールなどを選択する旨味が薄くなり、結果ジャンドにとって骨の折れる相手だった、これらコントロールが減った。
 ・ジャンドが一番輝くのは、環境でどんなデッキと相対するかを完璧に予測できて、それに合わせたデッキ構築をできるとき。モダンからアミュレットと双子が消え、バーンや親和といった既存のデッキに対象を絞ることができるようになった。
 
 上の理由と、経験値があるという理由で(それに重要な要因として、使っていて楽しかったし)、私とチームメイトのシャハール・シェンハー(Shahar Shenhar)は、プロツアー・ゲートウォッチの誓いにジャンドを持ち込むことにした。
 
ジャンド
 
土地
 3:《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
 1:《森/Forest》
 2:《沼/Swamp》
 1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
 2:《草むした墓/Overgrown Tomb》
 1:《血の墓所/Blood Crypt》
 4:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
 4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
 1:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
 4:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》
 1:《黄昏のぬかるみ/Twilight Mire》

クリーチャー
 4:《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
 4:《闇の腹心/Dark Confidant》
 4:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》  (※原文ママ)
 2:《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
 2:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
 2:《漁る軟泥/Scavenging Ooze》

呪文
 4:《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
 2:《思考囲い/Thoughtseize》
 1:《炎の印章/Seal of Fire》
 4:《稲妻/Lightning Bolt》
 2:《終止/Terminate》
 2:《突然の衰微/Abrupt Decay》
 1:《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
 1:《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
 1:《殺戮の契約/Slaughter Pact》

サイドボード
 2:《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
 1:《強迫/Duress》
 1:《思考囲い/Thoughtseize》
 1:《見栄え損ない/Disfigure》
 2:《古えの遺恨/Ancient Grudge》
 2:《粉砕の嵐/Shatterstorm》
 2:《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
 2:《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》
 1:《塵への崩壊/Crumble to Dust》
 1:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》

 大きく変わった点は、《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を採用したこと。カリタスは消耗戦、相手のカードを全部除去するジャンドのために生まれてきたようなカードだ。除去を握りしめながらカリタスを出してターンが返ってきたら、流れは完全にこっちのもの。相手は相当苦しい戦いを強いられることになるだろう。殺戮の契約、炎の印章、ヴェールのリリアナなどがあれば、唱えたターンのうちに除去することも可能だ。
 
 特にアブザン《集合した中隊/Collected Company》に対しては劇的な強さを発揮する。《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》絡みのコンボは完全に止まる上、除去されやすいタフネスが1や2のクリーチャーは、カリタスが出てしまうと不安要素以外の何でもない。3/4絆魂というサイズはバーンに対して強烈だし、《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》や《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》に対しても有効だ。
 
 《ゴブリンの先達/Goblin Guide》、《信号の邪魔者/Signal Pest》、《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf》などが走ってくるモダンは高速環境なので、1マナの除去を追加で1枚取りたかった。
《炎の印章/Seal of Fire》

 炎の印章は、タルモゴイフの餌になることを買ってと、序盤に置いておいてカリタスを着地させてから使う目的で採用した。マナを先行投資しておくのは、各種コンバットトリックを擁する感染、またインスタントタイミングで《頭蓋囲い/Cranial Plating》の装備を狙ってくる親和に対しても有効だ。他にもちらほら嬉しいことはあって、例えばグリクシスコントロールコントロールが出してくる、高タフネスの《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を焼く用途に最適。グリクシスはよく、1枚目の稲妻を通して2枚目の稲妻を打ち消してくるが、《炎の印章/Seal of Fire》を先置きしておくと、1枚目の稲妻を消さざるを得ない。結果、除去を2枚も無駄撃ちさせられるリスクを軽減することができる。
《見栄え損ない/Disfigure》
サイドボードを見ると、火力を使えるデッキで見栄え損ない?と疑問に思われるかもしれないが、「赤くない」見栄え損ないでなければならない理由がある。プロテクション(赤)の《波使い/Master of Waves》や《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》といったクリーチャーを除去することができるというのが理由の一つ。しかしより重要な点として、見栄え損ないが初手にあると、1ターン目に走ってくる《ゴブリンの先達/Goblin Guide》に対して、《血の墓所/Blood Crypt》や《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》にライフを支払わず、沼で対処することができるのだ。バーンをいなす展開としてよくあるのは、1ターン目のゴブリンの先達を見栄え損ないで迎撃し、返すターンで《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》や《強迫/Duress》を撃ちつつ、ショックランドをタップインするという流れだ。
《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
プロツアー・『ゲートウォッチの誓い』のメタゲームを見据えて、台所の嫌がらせ屋を多めに採用した。モダンにおいて、バーンやナヤブリッツといったデッキはいつも強敵だと思っているが、プロツアーでもやはり多くの人が使用するだろう。《野生のナカティル/Wild Nacatl》や《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》といったカードを使う相手にとって、台所の嫌がらせ屋は最も有効なカードの一つ。メインサイド合わせて上限まで取ることにした。
《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
 やっと拘りのカードについて話せる段まできた!1つは《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》。《荒廃の工作員/Blighted Agent》、《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》、《族樹の精霊、アナフェンザ/Anafenza, Kin-Tree Spirit》といったクリーチャーを使うコンボを使うプレイヤーに渋い顔をさせられるカードだ。親和やマーフォークに対しても強く、アブザンやZooといった、膠着しやすいマッチアップでも強い。
 
 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》は、バーンに対する5枚目のライフゲインカードだ。《強情なベイロス/Obstinate Baloth》や《スラーグ牙/Thragtusk》ほど、即時に回復できる量は多くないものの、《アタルカの命令/Atarka’s Command》や《頭蓋割り/Skullcrack》に対しては狩猟者の漸次的な回復の方がずっと有効だ。《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》は電撃戦をしかけてくるような相手以外には大概強い。メインデッキの中で相手に対してあまり有用でないカードを、より効果的なカードを入れ替えるという、ジャンドのサイドボードの性質を考えると、クルフィックスの狩猟者は枚数を調整するのに役立つ、丸いカードとしての役割があるのだ。
 
 ジャンドの組み方は無数にあって、どんな敵が相手でも、組み方次第で有利をつける構築が可能だ。今週末、バーン、親和、感染、他クリーチャーデッキを当たるのを楽しみにしている。アブザン、ランプ系のマナ加速デッキ、それにコンボ相手は、今の組み方だと、そういった相手に刺さるカードも入っているから、いい手札が来るようにお祈りするしかない。といっても、1ターン目思考囲い、2ターン目タルモゴイフという流れを一笑に付すことのできる相手は、今のモダンでもそうそういないはずだ。
◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール製デッキの手引き モダン・エルドラージアグロ
 
 TeamCFB Deck Tech: Modern Eldrazi
 
 By Luis Scott-Vargas 2016年2月6日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/teamcfb-deck-tech-modern-eldrazi/
 
 (注:プロツアー『ゲートウォッチの誓い』2日目の前に書かれた記事です)
 
 
1ターン目
 《ウギンの目/Eye of Ugin》
 《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
 《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
 《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
 からの
 
2ターン目
 《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
 《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》

 《現実を砕くもの/Reality Smasher》   ウィーントキィ

 プロツアーへようこそ!
 
 上に挙げた2ターンキルは、もちろんそこまで現実性があるわけじゃない。でも2ターンで相手を殴り倒す可能性がある、それだけで凄い。実質《古えの墳墓/Ancient Tomb》8枚体制を取れるのは素晴らしく、このデッキは常識を粉砕するような爆発的展開の可能性を秘めているんだ。
 
土地
 4:《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
 4:《ウギンの目/Eye of Ugin》
 3:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 4:《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》
 4:《幽霊街/Ghost Quarter》
 3:《変わり谷/Mutavault》
 2:《荒地/Wastes》(コレクター番号184のフルアートを使おう)
 
クリーチャー
 4:《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
 4:《作り変えるもの/Matter Reshaper》
 4:《果てしなきもの/Endless One》
 4:《難題の予見者/Thought-Knot Seer》
 4:《現実を砕くもの/Reality Smasher》
 
呪文
 4:《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》
 4:《四肢切断/Dismember》
 4:《虚空の杯/Chalice of the Void》
 2:《呪文滑り/Spellskite》
 2:《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
 
サイドボード
 4:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
 3:《はらわた撃ち/Gut Shot》
 3:《忘却蒔き/Oblivion Sower》
 2:《真髄の針/Pithing Needle》
 1:《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
 1:《呪文滑り/Spellskite》
 1:《歪める嘆き/Warping Wail》

 これが今回、チーム・チャネル・ファイアーボールで使うことにしたデッキだ(《呪文滑り/Spellskite》と《漸増爆弾/Ratchet Bomb》の採用枚数は、人によって若干ばらつきがあるけどね)。まずはバンクーバーの調整合宿で、デッキ調整に尽力してくれたチームの皆に感謝と称賛の意を表したい。何せこんな怪しい紙束をまとめて、エイリアンの殺戮マシーンみたいなデッキに仕上げてしまったんだからね。
 
 それじゃデッキの解説をしようか。
 
 《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
 《ウギンの目/Eye of Ugin》
 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》

 このデッキの強さの秘密は、この土地3種に尽きる。ウギンの目とエルドラージの寺院の加速は本当にぶっ壊れだし、アーボーグを置くとウギンの目が黒マナを出せるようになって実質2マナ相当、加速したマナは危険な領域へと突入する。エルドラージが2マナとか3マナとか軽くなりだしたらもう手が付けられない。2マナ4/4で手札を引っこ抜いたり、3マナ5/5が速攻で殴りだすのは、モダンですら不条理そのものだ。こうして高速でエルドラージを叩き付けて相手を殴り倒すデッキだね。
 
 ウギンの目があると、エルドラージは2マナ継続的に軽減されるから、毎ターン矢継ぎ早に展開することで4~6マナくらい出しているのと同じ計算になる。ウギンの目とエルドラージの寺院で、2ターン目に《作り変えるもの/Matter Reshaper》2体というのもこのデッキでは普通に起き得る。全く罪作りだ。ウギンの目は《果てしなきもの/Endless One》もちゃんと噛み合う。実質+2/+2されて出てくるね。
 
 《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》
 《変わり谷/Mutavault》
 《幽霊街/Ghost Quarter》

 デッキには無色、もしくはファイレクシア・マナシンボルのカードしか入っていない関係で、追加で11枚、能力付きの土地を採用することができた。ちらつき蛾の生息地、幽霊街、変わり谷まで搭載できるのは大きく、土地の能力で勝てるゲームもたくさんある。ちらつき蛾は相手のちらつき蛾をブロックするのに最適だし、幽霊街はあらゆるデッキに対して嫌がらせのように効く。変わり谷はそんな2枚と比べると少し見劣りするけれど、それなりにダメージを取れる分、《地盤の際/Tectonic Edge》や《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》よりデッキに合っていると思う。
 
 《荒地/Wastes》

 最初見たときは笑ったかもしれないけれど、環境に存在する《流刑への道/Path to Exile》や《幽霊街/Ghost Quarter》との関係で「基本土地」を2枚採用するのは重要なんだ。荒地があれば、《血染めの月/Blood Moon》が出て周りが山だらけになっても、無色マナを捻出することができる。
 
 《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
 《作り変えるもの/Matter Reshaper》
 《難題の予見者/Thought-Knot Seer》
 《現実を砕くもの/Reality Smasher》
 《果てしなきもの/Endless One》

 次はデッキのイカれたメンバーを紹介するぜ!エルドラージのミミックは単体だと最弱だけど、ウギンの目があれば全くのノーコストで出てくるし、爆発的な怒涛の攻勢には大体ミミックが一枚噛んでいる。《現実を砕くもの/Reality Smasher》はこの中でも最高の打撃力を誇るから、4ターン目以降はずっとこいつをトップしたい。《難題の予見者/Thought-Knot Seer》は、通常の勝ち筋から軸をずらした、いわゆる「アンフェア・デッキ」と戦うのに必須で、手札破壊で相手のコンボ速度を落としてくれる。普通のデッキ相手でも、早いターンに出れば超強力。《作り変えるもの/Matter Reshaper》と《果てしなきもの/Endless One》は一軍のエースではないものの、軽くて中々のサイズだ。
 
 《虚空の杯/Chalice of the Void》
 《四肢切断/Dismember》
 《呪文滑り/Spellskite》
 《漸増爆弾/Ratchet Bomb》

 ここに挙げた4種は全て、刺さるカードはそれぞれ違うものの、速い環境で必須となる除去や妨害手段だ。今紹介しているこのエルドラージアグロも大概速いけれど、更に速度で上回るデッキも存在するし、ブロッカーをどかす目的でも重要だ。虚空の杯は基本的にX=1で置くけれど、親和や《死せる生/Living End》相手にはX=0で置く。序盤以降の杯はX=2で置くのも悪くないものの、X=2だとこちらにも被害が出るから要注意だ。
 
 《四肢切断/Dismember》と《漸増爆弾/Ratchet Bomb》は除去枠。漸増爆弾は超強力なカードってわけじゃないけど、あるのとないのとでは感染や親和との相性が大違い。呪文滑りは除去避けで、感染や呪禁オーラには劇的に効く。
 
 《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》

 インチキくさい展開を可能にする、第二の加速エンジンがこちら。1ターン目に虚空の杯をX=1で置くのは卑怯レベル。それに難題の予見者や現実を砕くものを1ターン早く着地させるのもほとんどいじめ。極めつけに、フルタップ状態から指導霊を追放して四肢切断を撃つことまでできてしまう。汚いな流石ゴリラ汚い。全力疾走するためのカードだから、終盤引いたら大惨事だけど、ま、こういう理不尽なデッキを選択するって事は、リスクも織り込み済みだよね。
 
 ゲームプラン
 
 このデッキのゲームプランは実にシンプルだ。デカい強い奴をできるだけ早く盤面に叩きつけ、必要に応じて相手を妨害する。それだけ。たまに虚空の杯や呪文滑り、漸増爆弾を先に置かなければならないときもあるけれど、大抵はまず展開して、その後に妨害手段を使う方がいい。《難題の予見者/Thought-Knot Seer》は、4/4というプレッシャーの分、最高の妨害手段だし、《現実を砕くもの/Reality Smasher》は相手のライフを砕くのに最適だ。
 
 ブン回ったときのこのデッキは、まさに壊れ。2ターン目や3ターン目に、5~7マナ分の展開をするのだから、理不尽の体現にすら思えるだろう。しかもこのデッキの土地はマナを出すだけでなく、ほぼ全てにマナ以外の能力がついているから、展開し終わった後も土地を使って暴れられるんだ。
 
 2マナ相当の土地である、ウギンの目もしくはエルドラージの寺院が引けないとき、あるいはドローが噛み合わずちぐはぐな手札になってしまい、苦境に立たされることもある。戦犯筆頭は猿人の指導霊だけど、他にも虚空の杯や伝説の土地を複数枚引いてしまったり、土地がウギンの目やアーボーグしかない、なんて手札が来ることもある。頻繁に起きる事故ではないけれど、ぶっ飛んだ展開が可能な代償として、たまにどうしようもない、何もできない手札が来てしまうというのは、コインの裏表ってことだね。
 
 サイドボード
 
 サイドにも無色のカードしか取れない都合上、あまり選択肢は多くない。《忘却蒔き/Oblivion Sower》はガッチリしたサイズが頼もしいし、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》は間単に唱えられて強力な墓地対策だ。《はらわた撃ち/Gut Shot》に、追加の《爆弾部隊/Bomber Corps》、《呪文滑り/Spellskite》、《歪める嘆き/Warping Wail》は追加の除去で、《真髄の針/Pithing Needle》は多種多様なパーマネントに対する回答だね。
 
 このデッキは使っていて超面白いし、とにかく強い。おかげでプロツアー初日、チームの戦績は驚異的だった(勝率68%。もっともチーム20人のうち3人は違うデッキを使ったけれど)。2日目もこの調子で勝ち進みたいね。皆も是非使ってみてくれ。
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 黒 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月14日

 
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《タールの罠/Tar Snare》
 リミテッド3.0点
 タールなだけにスッキリ爽やかとはいかないけど、除去だからね。それなりに色々倒せるし、戦闘中に弱体化を図ることもできる。
《荒々しい渇望/Untamed Hunger》
 リミテッド1.0点
 オーラの渇望とか間に合ってるから。
 わざわざ2:1交換を取られに行かなくていいから。
《吸血鬼の特使/Vampire Envoy》
 リミテッド3.0点
 サイズこそ2/4でないものの、攻撃にいけば2点分のライフ差をつけられる。安定枠。抜けるとしたら殴ることしか考えない脳筋デッキになった場合くらい?
《ズーラポートの鎖魔道士/Zulaport Chainmage》
 リミテッド2.0s点
 4マナ4/2では、2マナ3マナのクリーチャーと相討ちになってしまうので今一つ。でも能力がついてるからそこのところは目を瞑ろう。同盟者に寄せたデッキなら2枚くらい喜んで採用したい。

 
 黒のコモントップ5
 5.《コジレックの叫び手/Kozilek’s Shrieker》
 4.《吸血鬼の特使/Vampire Envoy》
 3.《タールの罠/Tar Snare》
 2.《コジレックの組み換え/Kozilek’s Translator》
 1.《忘却の一撃/Oblivion Strike》
 
 忘却の一撃が他を突き放しての一位。思わず何度もアンコモンでないか確認してしまったぜ。頼もしいサイズと能力を買って、2位はコジレックの組み替えにしたけれど、5マナが渋滞しそうなら避けることもあると思う。その下は僅差。殺戮ドローンも候補になると思う。
 
 黒は大量の無色カードと、強力な同盟者とで勢力が2分されそう。攻撃的な組み方とコントロール的な要素も同居しているから、色としてどっちの方向に進むか難しいところだね。
 
 次は赤だ。熱いぜ!熱いぜ!熱くて死ぬぜ!
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 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月14日

 
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《終末の目撃/Witness the End》
 リミテッド1.5点
 どのくらい有用かは、環境の速さ次第かな。戦乱のゼンディカーだと《ぬかるみの敵意/Mire’s Malice》はかなり強力だったけれど、環境が速かったらてんで使い物にならなくてもおかしくなかった。終末の目撃は覚醒がない分劣るし、遅いデッキのミラーマッチでもない限り強くはなさそう。
《屍体の攪拌/Corpse Churn》
 リミテッド1.0点
 《死者再生/Raise Dead》とかお呼びじゃないし、2マナもかかるとかもっての外。ライブラリーを削って選択肢が増えるといっても、遠慮したいね。
《ドラーナに選ばれし者/Drana’s Chosen》
 リミテッド3.5点
 2/2を毎ターン産む機械になるのは中々いいし、白黒あたりなら同盟者の数を確保するのもそう難しくないだろう。能力が守備的なので、ゾンビトークンがタップインなのは結構キツい。でもそのくらいの欠点なら全然許せちゃうね。
《闇の掌握/Grasp of Darkness》
 リミテッド3.5点
 除去の確保はいつでも悩みの種。ダブルシンボルがキツめとはいえ、こいつが優れた除去であることを掌握するのは難しくない。ミラディンの傷跡のときはコモンだったけど、今やアンコモン。でも今の基準だと適正に感じるのは面白いね。
《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
 リミテッド4.5点
 4マナ3/4絆魂の時点で強い上、ゾンビ工場として期待を裏切らない。相手からすれば、除去が普段の2倍増しで痛くなるわ、戦闘もやりにくくなるわ、巨大な絆魂クリーチャーまで相手にしなきゃならないわで辛すぎる。以前より随分強化されたから、これなら初手でとってもゼンディカードラフトをわかってないとか怒られることはないだろう。
 
 双頭巨人戦では:狂った強さ。確かに相手が除去を持ってる率は高いとはいえ、打消しを構えつつ出せたらゲーム終了も間近だろう。
《マラキールの占い師/Malakir Soothsayer》
 リミテッド3.5点
 占い師にしては随分と肉体派だが、そこがいいところでもある。ライフなり相棒なりが足りなくてカードが引けないときも、殴ったり守ったりできて隙がない。できるだけ同盟者を集めてやりたいけど、同盟者の頭数が2人とかその程度でも全然採用できるよ。
《虚身呼び/Null Caller》
 リミテッド3.0点
 虚心坦懐に評価して、中々優秀だと思う。そこそこのサイズに、少し重めながら強力な能力つき。能力のため、何か特別に仕込む必要はないよ。戦闘で相討ちしたとき、餌が増えて好都合だと思うくらいでちょうどいい。
《無情な処罰/Remorseless Punishment》
 リミテッド1.0か5.0点(好きな点数を2回選んでくれ)
 撃たれた側に逃げ道が多いから、レビューとしては一応1.0点をつけておく。ライフ喪失は戦局に影響しないことが多いし、適当な雑魚を生贄にされて終わり、なんてことになりそう。まかり間違えば2枚手札を捨てさせられるかもしれないけれど、こういう相手に選択肢のある懲罰者カードは、歴代弱いものばかりと相場が決まっているんだよね。どのモードを選択されても相手は大打撃をこうむる、なんて展開のゲームもあるかもしれないけど、大体そんな都合よく物事は運ばないのが懲罰者の常だぜ。

◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 黒 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月14日

 
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《惨状蒔き/Havoc Sower》
 リミテッド3.0点
 パンプをちらつかせながら終盤まで戦闘できる《丘巨人/Hill Giant》参上!無色マナ源が豊富でなくてもちょっと誘惑されそう。無色マナと相談する際の目安的には、1~2枚あれば使ってもいいかなくらいで、3~5枚あれば強力。6枚以上あったらメチャクチャ強いと思うよ。
《真実を覆すもの/Inverter of Truth》
 リミテッド3.5点
 4マナ6/6飛行としての旨味は、4ターン目に出せないと薄れてしまう。だからってこいつを4ターン目とか序盤に出さないようにね。こいつは終盤に出ても十分脅威な上、ドローを呪文祭りにしてくれる(控え目に見ても、ほとんどは呪文になるだろう)。墓地が3~5枚くらいで降臨させるのはハイリスクすぎると思うので、もうちょっと粘ってから出したい。
 
 勿論、相手のライフが低ければ低いほど、攻撃の手を強めたくなるのが人の性。でも、あっさり除去られてライブラリーアウトで負けたくはないでしょ?バウンスもまた、食らうと壊滅的なことになるので気をつけておきたい。
 
 双頭巨人戦では:使わない方がいいと思う。こいつを出すと、敵チームにライブラリー切れという新しい勝ち手段を与えてしまうことになる。双頭巨人戦では普通より大分多くの除去と戦うことになるから、余計怖い。ターン10以降まで待ってから出すというのも手だけど、そんな終盤まで待たないといけないカードをデッキに入れて大丈夫なのか?ってね。
《コジレックの叫び手/Kozilek’s Shrieker》
 リミテッド3.0点
 思わず叫びてぇ気持ちを呼び起こすイラストに、どんなデッキでも使えるサイズに能力がくっついてる。マナレシオだけで見ても普通に強い部類だし、起動が軽くて終盤まで役立つ能力付きだ。こいつを取ってそこから無色デッキを目指すとか、そこまで派手なカードじゃないにせよ、こいつを取ったら無色マナ源をデッキに仕込みたくなるね。
《コジレックの組み換え/Kozilek’s Translator》
 リミテッド3.0点
 はい、二人組つくってー。
 余った?じゃあエルドラージと組むかい?
 
 カードそのものはかなり優秀。《コジレックの媒介者/Kozilek’s Channeler》と比べて痛いけれど、戦闘に参加しつつ能力が起動できるから、相手にも痛い思いをさせられる。それにこいつは無色専用のカードじゃなくって、黒ければどんなデッキに入れてもいい。無色デッキで使うのが一番ではあるけれどね。マナを立てておきたいときは、こちらのターンにも使うのを忘れずに。ライフが余ってれば特に大切。
《忘却の一撃/Oblivion Strike》
 リミテッド3.5点
 こんなに強くて万能なコモン除去はそうそうない。4マナかつソーサリーだから取り回しがいいわけじゃないが、なんでも倒せるのは素晴らしい。どんなデッキでも真っ先に取りたい除去。
《搾取ドローン/Reaver Drone》
 リミテッド1.5点
 脳筋仕様のカードだけど、無色だって殴るばかりが脳じゃないと思うんだよね。まず1マナ2/1からしてそこまで好きになれないし、デメリットがついてるんじゃとてもとても。
《頭蓋ふるい/Sifter of Skulls》
 リミテッド4.0点
 アド厨大歓喜な能力がついてる《山頂をうろつくもの/Summit Prowler》はいつでも大歓迎だ。どんなデッキになっても入れたい。末裔がぽこぽこ生まれるから、無色マナ源にすらなり得るよ。
《空の探索者/Sky Scourer》
 リミテッド1.5点
 《コジレックの歩哨/Kozilek’s Sentinel》が飛んだ!でも飛ぶためにタフネスをダイエットしてしまったらしい。こんなんじゃブロックになんないよー。ブロックは歩哨の重要な任務だったのだが。相当無色に寄せられてるデッキでないと入れたくないね。無色でまとめられても、不安定な2/2飛行程度じゃ嬉しくはないかな。
《殺戮ドローン/Slaughter Drone》
 リミテッド2.5点
 2マナ2/2で、終盤も相討ち要員になるのは素敵だ。全く起動できなくても、2/2熊が必要になることだってあるし、ちょっと気をつければ無色マナをつまむくらい難しくないはずさ。
《異常な忍耐/Unnatural Endurance》
 リミテッド2.5点
 ここまでの評価を見て、こいつ異常なほどコンバットトリックに対して厳しいなと思ったかもしれない。でも、コンバットトリックが無条件に嫌いってわけじゃない。軽くて、除去をよけれて、大型クリーチャーとも相討ちを取れる。こういうトリックなら好き。使わないデッキがあるとしたら、クリーチャー数が少なめなデッキとかだろうか。撃つ先がないんじゃ、採用は見送るしかないからね。対応しての除去にはさすがに耐えられないものの、再生がつくから、相手もコンバットトリックを使ってきたとき、返り討ちに合わないのもいいね。
《粗暴な幻視/Visions of Brutality》
 リミテッド2.5点
 名前もヘンなら効果も変なカード。攻め主体のデッキなら除去のように働くから、是非攻めるデッキで相手をもてあそぼう。アンコモンだから、見た目よりは強いのかもしれない。マナカーブに沿って展開して、立ちはだかるブロッカーに貼れば、相手はブロックもできなければ攻撃もできなくなる。コントロールデッキで使わなければ、期待してるような効果を発現してくれるんじゃないかな。

◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 黒 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月14日

 
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《静寂を担うもの/Bearer of Silence》
 リミテッド3.0点
 トップバッターを担うのはこちら。爆弾レアではないものの、安定してキッカー(みたいなもんだよね)できればとても強い。殴りに行くなら2/1飛行として使ったってもいい。殴り合いだと、ブロックできないのが残念だけどね。守備的なデッキで、無色マナも使えない場合は厳しいけれど、普通はコントロールかつ無色マナが捻出できないなんて条件が揃うことはないだろう。
《戦慄の汚染者/Dread Defiler》
 リミテッド3.0点
 《破滅の昇華者/Ruin Processor》が裏返ったような能力だね。強そう。まずサイズが巨大だし、ゲームを速やかに終わらせる能力がついていて、重すぎたりシンボルがキツかったりもしない。無色マナが出せないといまいちにも感じるものの、終盤にかけてのカードだから、無色マナ源は2枚とかそんな程度でもいいと思う。
《本質を蝕むもの/Essence Depleter》
 リミテッド2.0点
 3マナ2/3は悪くないし、起動さえできれば能力は素晴らしい。ライフゲイン系のギミックと組み合わせてもバッチリだし、欠色デッキでも序盤から展開でき、かつ後半まで役に立つ。
《鞭打つ触手/Flaying Tendrils》
 リミテッド2.5点
 コモンの顔ぶれを見る限り、マイナス2という触手の修正値は十分強い。でも驚異的とまではいかないかも。タフネス2ばかりが目につくわけでもないし、コモンに飛んでる2/3、1/3、3/3なんかがいるのは要注意。メインに入れていいと思うけれど、相手のクリーチャーを見ていつでもサイドアウトできるように準備しておこう。
 
 双頭巨人戦では:双頭巨人戦では相方と組んで調節できる分、全体除去は一般的に強くなるが、それでもやっぱりブレの大きい呪文だ。メインに採用はするけれど、1対多交換に拘らず、使えるときに使ってしまおう。待ってて報われることはあんまりないと思う。

◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 青 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月18日
 
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《押し潰す触手/Crush of Tentacles》
 リミテッド4.0点
 怒涛するとついてくるタコが、更なるバウンスで消滅するというのはなんか笑える。こいつは怒涛するだけの価値が間違いなくある。タコのためなら《空間の擦り抜け/Slip Through Space》みたいなカードをちょっとくらい入れるのも吝かでないね(だが《骨の鋸/Bone Saw》、テメーはダメだ)。軽いキャントリップとか、1マナのクリーチャーみたいな、怒涛を誘発させる以外にも使えるものと組み合わせたい。総評だけど、怒涛で使えたらぶっ飛んでる。そうでなければ普通ってところ。点数を見るときはそのあたりの事情を汲んでくれ。ロートスジュニアを出すために、一肌脱いでくれるのを期待してるよ。
 
 双頭巨人戦では:対戦相手を押し潰そう。相方が軽い呪文を使ったところで撃てば、なんと無人の荒野に巨大なタコが!環境の中でも最強の一角だと思う。
《竜巻の種父/Cyclone Sire》
 リミテッド3.5点
 風立ちぬ。
 《復興の壁/Wall of Resurgence》と違って、5マナ出る頃土地をクリーチャーにしてもリスクは低い。5マナ3/4飛行はそれだけで立派な戦力。それに土地を覚醒するおまけがついてくるとくれば言うことないね。
《牙の贈り物/Gift of Tusks》
 リミテッド1.5点
 3/3は結構デカいから、戦闘中使うにはあまりにリスクが高い。こういうカードって強かったためしがないんだよね。用途は何か超ヤバいクリーチャーが相手にいて、それに対処するためのサイドボードにするのをお勧めするよ。あと、一応ゲロ弱い《巨大化/Giant Growth》としても使える。覚えておくとたまに役立つかも。
 
 双頭巨人戦では:こういう軽量コンバットトリックはそれだけで強い。特にこういう振れ幅の大きいやつは使いでがある。あれば即採用というカードではないけど、青マナを立てて相手を翻弄するデッキを組む場合はお供にどうぞ。
《乱動の握撃/Grip of the Roil》
 リミテッド3.0点
 効果は小ぢんまりとしてるけど、こういうちょっとした効果でサイクリングできるカードはいつでも採用するだけの価値がある。前のめりなデッキならお得感があるけれど、頑張って怒涛を達成する必要はないと思う。
 
《面晶体の連結/Hedron Alignment》
 リミテッド1.0点
 かっこよさ5.0点
 間違いなくカッコイイけれど、リミテッドで使うカードじゃないね。占術がついてるから史上最低のカードではないものの、それだけじゃカード1枚分の働きはしないしマナもかかる。何かが起きてリミテッドで勝利条件を満たすようなことが起きれば、お前がナンバーワンだ。
《ジュワー島の報復者/Jwar Isle Avenger》
 リミテッド3.5点
 普通の優良飛行クリーチャーにメリット能力がついた。4ターン目に怒涛の展開……とはあまりいかないだろうが、5ターン目に2マナクリーチャーと報復者、というように動くので十分強い。《押し潰す触手/Crush of Tentacles》みたいな例外はあるにせよ、怒涛は専用デッキで怒涛コストを狙うというより、普通のカードにオマケがついてる、ぐらいで俺は見てるよ。ま、軽いカードがいっぱい取れてるなら、普通より早くピックして、ゲームの中でも素早く展開するってのも勿論アリだ。
《否認/Negate》
 リミテッド1.0点
 相変わらずサイドボード要員として優秀。シールドならメインでいいと思う。あるいはドラフトでもワンチャンメインデッキに差していいと思うんだけど、大概はサイドに落ち着く。
 
 双頭巨人戦では:《虚空の粉砕/Void Shatter》と同じ。双頭巨人戦の打ち消しは強い。
《ジェイスの誓い/Oath of Jace》
 リミテッド1.0点
 《ギデオンの誓い/Oath of Gideon》のところでも触れたけれど、神話レア限定の効果がついててもね……。
 3枚引いて2枚捨てるのも今一つ。カードが足りてるなら入れないと思う。
《圧倒的な否定/Overwhelming Denial》
 リミテッド1.0点
 超ニッチなサイドボード。環境に存在する打ち消し呪文の中でも最弱。あまりに重すぎる。リミテッドじゃあ打ち消し合戦もそうは起きないしね。
 
 双頭巨人戦では:やっぱり他の打ち消しと比べたら弱い。それでも打ち消しは強いし、打ち消し合戦もあり得るから、使ってもいいかな。
《水脈の乱動/Roiling Waters》
 4.5点くらいついてほしい
 (現実的には)リミテッド3.5点
 2枚ドローと2体バウンスは相当な強さ。抱き合わせが7マナでも理不尽じゃないね。バウンスにありがちなカードアドバンテージを失うこともないし、2体をバウンスすれば合わせて7マナ以上バウンスしたことになるだろう。重たいけれど、メインから是非採用したい。
 
 双頭巨人戦では:相方のドローを進める選択肢もあるし、対戦相手2人の重たいのをそれぞれバウンスできるとくれば使わない手はない。
《終止符のスフィンクス/Sphinx of the Final Word》
 リミテッド4.0点
 最近はクリーチャーが強いから、7マナ5/5飛行だけじゃちと物足りない。打ち消されない云々は評価材料として微妙だけど、呪禁がついているのはとてもいい。後顧の憂いなくフルタップで出せるフィニッシャーというのは素晴らしい。圧倒的安心感。ときには打ち消しマニアを黙らせて愉快な気持ちに浸れそうだしね。
《掃き飛ばし/Sweep Away》
 リミテッド3.0点
 クリーチャー限定のバウンスで3マナは今一つだけど、まあ使えなくはない。ライブラリーの一番上に送る方がずっと嬉しいんだけど、このカードの良さはマナを立てていても無駄にならないところにある。相手が警戒して攻撃してこないこともあるかもしれないけれど、指をくわえて見ていることしかできないのと、撃ってしまう選択肢があるのとでは天と地ほど差がある。《時の引き潮/Time Ebb》効果自体が強力で、相手からすれば迂闊に攻撃できず、アドバンテージの損失も起きない上、これほど柔軟なカードは本当に偉い。《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》や《掴み掛かる水流/Clutch of Currents》と並べて語れるほどではないけれど、いつでも使うから早めにとってしまっていいだろう。
《ウマーラの絡め捕り/Umara Entangler》
 リミテッド2.5点
 特に果敢デッキが組めるようなセットではないと思うけど、キャントリップが多く採用されているから、本来のスペック以上の力を発揮してくれることもあるかもしれない。序盤のマナカーブを整えつつ、後半にもまあまあ戦えるくらいの力はありそうだ。
《一致団結/Unity of Purpose》
 リミテッド1.5点
 真のデュエリストはデッキと一団結する!素敵な響きだが、コンバットトリックとはね。青のクリーチャーデッキで支援が十分行き届くかという問題と、突然のアンタップで相手に奇襲をかけるというのは、どうも青の強みとは違う気がする。

 
 青のコモントップ5
 5.《目潰しドローン/Blinding Drone》
 4.《封止の被膜/Containment Membrane》
 3.《掃き飛ばし/Sweep Away》
 2.《耕作ドローン/Cultivator Drone》
 1.《ジュワー島の報復者/Jwar Isle Avenger》
 
 ジュワー島の報復者の圧倒的安心感。でもピックしたカード次第では、無色のカードの方がずっと強くなることもままありそうだ。《目潰しドローン/Blinding Drone》は無色マナさえ安定すれば価値が跳ね上がるし、《荒地/Wastes》成分多めのデッキでは《耕作ドローン/Cultivator Drone》《重力に逆らうもの/Gravity Negator》あたりもとても強力だ。除去は確定除去でないけれど、どちらも軽いし中々使いでがありそう。除去はどちらかというと守るときに強そうだから、青はコントロールか飛行で攻めるデッキが組めそうかも。悪くないね。
 
 次は黒。今回は除去が目を引くね。
◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 青 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月18日
 
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《空間の擦り抜け/Slip Through Space》
 リミテッド1.5点
 空間というよりむしろ空気。青ければデッキに入らなくはないし、絶望的に弱いということもないだろうけれど、点数を見ても分かる通りたいしたことは期待できない。入れ込むカードではないよ。1マナのキャントリップを入れたからといって間違ったことは起きにくいから、カードが足りなければ入れて何ら問題ない。青い殴りデッキや嚥下したいデッキだと欲しいと思うかもしれないけれど、急がずとも残り数手で取れると思う。軽くてカードを消費しないので、怒涛との相性はとても良好。
《思考刈り/Thought Harvester》
 リミテッド3.0点
 なにはなくともサイズと飛行だけで合格点だ。2/4飛行は頼りになるから、青ければすんなり入るだろうね。欠色と昇華者とも噛むけれど、それを目当てにしたデッキでなくてもいい。素のスペックが優秀なだけに、他はおまけといったところかな。
《虚空の粉砕/Void Shatter》
 リミテッド2.0点
 メリット付きの《取り消し/Cancel》だから弱くは無いけど、昇華者の数が減ってしまった今となっては、戦乱のゼンディカー3つのときほどときめかない。青マナ供給源が9枚以上あるなら使うけれど、そうでなければ遠慮しとくよ。打ち消し全般はサイドボード要員として優秀だから、少なくとも重くて強いところで攻めてくる相手に対するサイドボードにはなるはずさ。
 
 双頭巨人戦では:双頭巨人戦だと、打消しは相当使いやすくなると思っていい。実際、《虚空の粉砕/Void Shatter》と《呪文萎れ/Spell Shrivel》、おまけに《否認/Negate》に《払拭/Dispel》まで、打消しを5枚も入れて、フルタップしないようなデッキを作ったくらいさ。対戦相手が複数いると、マナを立てておいても無駄になることがほとんどないし、突き詰めると双頭巨人戦とは、盤面が崩壊しかねないようなカードに対処することに尽きるからね。
《古代ガニ/Ancient Crab》
 リミテッド1.5点
 青いカードを取りまくって、どっしり構えるようなデッキが出来たって?そりゃ誇大でなく成功ドラフトだ。カニでも喰ってお祝いしよう。固くて美味いぞ。
《比較分析/Comparative Analysis》
 リミテッド1.5点
 俺は本当に、心から比較分析が強いといいなと思うんだが、一方で散々手間隙かけてようやく《予言/Divination》相当ってのはどうなのよ。リミテッドはそういうゲームじゃないから。使って使えないことはないにせよ、最近のカードはどれも強いから、4マナも払って予言もどきと戯れるのはなんだかね。
 
 双頭巨人戦では:双頭巨人戦では、怒涛と書いてあるカードはほぼ怒涛コストで唱えられると思っていい。最初から怒涛で唱えられるなら弱いはずがない。ドローを相方に譲ることも出来るので、自分以外に唱えることもままあるだろうね。他人にドローを譲れるからといって、別段嬉しかったりはしないけど。
《封止の被膜/Containment Membrane》
 リミテッド3.0点
 貼り付けたときに対象をタップしてはくれないけれど、怒涛コストが超絶軽いので、タイマン勝負でも安定して怒涛で使えるだろう。とにかく軽いのが素晴らしい。5ターン目くらいに、4マナのクリーチャーを展開しながら貼り付けたりできるのはかなり強力だ。
 
 双頭巨人戦では:1マナの除去は偉い。つまり強い。

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 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月18日
 
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《難解な干渉/Abstruse Interference》
 リミテッド1.5点
 何回見てもとっつきにくい名前だけど、中々やり手だと思う。上手く決まっても見返りが大きいわけじゃないから、どんなデッキにも入るカードではない。でもちょっといいなと思うところがちらほら。まずインスタントを多めに採用していれば、これのためにマナを立ててターンを返してもマナの損失につながりにくくなるね。無色マナが欲しいときのマナソースにもなるし、欠色をテーマとして追求するのであれば、これは無色の呪文でかつ無色のクリーチャーだ。相手にエルドラージ・末裔がいたら、生贄にしてあっさり追加の1マナを支払われてしまうだろうけれど、その場合は相手の末裔を始末してこっちに末裔を出す呪文として使ったと思えばそれほど悪くもない。サイドボードから入れるにはいいカード。一度見せたら、その後サイドアウトして相手を翻弄しても楽しい。
《目潰しドローン/Blinding Drone》
 リミテッド2.5点
 無色マナ供給源をデッキに入れると、こんないいことがありますよーという喧伝一号機。白にレアがいたけどコモンでは初めてだね。無色が出なければ相当微妙な性能でもある。タッパーとしてのコストが無色指定でなく、何色のマナでも良かったなら、胸を張って3.5点の看板を掲げてもらって構わなかったんだけどね。色の問題さえなければ、2マナ1/3のタッパーは超強力。除去にそこそこ耐性があり、ブロックに回しても有能、しかも後半メチャクチャ役立つ能力付きってことになるからさ。無色マナが指定されている以上、明確に何も考えず強いタッパーというわけではない。安定して使うためには無色マナ供給源が4~5枚は欲しいところ。容易いことではないけれど、頑張ってマナを何とかする苦労するだけの見返りは十分あるよ。
 
 無色マナ源が2~3枚しかなくても、2マナ域が必要なら入る性能ではある。4枚以上確保できたら、大分評価を上げたい。序盤からこういうのに手を出すのはどうなの?と思うかもしれないけど、4手目5手目で取って申し分ないと思うよ。無色マナが必要になったら、《荒地/Wastes》も取る価値が出てくる。逆に言うと荒地を取るのは、先に目潰しドローンみたいなカードを確保してからがいいかな。
 
 ただちょっと、戦乱のゼンディカーの《霧の侵入者/Mist Intruder》同様、気をつけてほしい。こういったカギになるカードに序盤から手を出すのは、無色を使いこなせるデッキが成立する(そして強い)という前提だ。第一印象だと、無色のテーマは支配的というより、優良~強アーキタイプに留まるんじゃないかと思うけれど、実際にドラフトしてみるまで、そのあたりははっきりしないね。
 
 双頭巨人戦では:白のレビューでも触れたけど、双頭巨人戦のタッパーは間違いなく強い。それに、片方のプレイヤーに無色マナ源をすべて託す、なんてこともやりやすい。双頭巨人戦なら、《目潰しドローン/Blinding Drone》が働くように意識してやりたいね。
《耕作ドローン/Cultivator Drone》
 リミテッド3.0点
 こういうカードこそ序盤で取るべき。強烈な能力がついていて、マナレシオもしっかりしている。デッキが青ければ大体どんなデッキでも入るだろうね。3マナ2/3はサイズとして見劣りしないし、まとまりのないデッキに適当に入れても、適当にデッキ内のカードを引き立ててくれると思う。それに耕作ドローンを確保すれば、無色のカードに手を出しやすくなる。本当、これのマナの使い道ができれば素晴らしいカードに化けるよ。無色デッキをうまく回すコツの一つは、いかにして色事故を防ぎつつ無色マナを確保するかだから、その点耕作ドローンはとても優秀だ。
《深水潜み/Deepfathom Skulker》
 リミテッド3.5点
 ちょっと重めだけど、超強力な能力がついていて見劣りしない。回避能力持ちの多いデッキなら、着地させてすぐ2~3枚カードを引くのも現実的。まさに爆アドだ。生きてターンが返ってきたら、クリーチャーをブロック不能にして強引にカードを引きにいくことすら可能だ(ドローついでにダメージも入るけど、まあダメージなんてドローと比べたらおまけだよね)。無色マナ源が全く確保できなくても、そこそこ航空戦力があるなら喜んで使うと思うね。逆に回避能力がなかったとしても、少々使い勝手は悪くなるかもしれないが、無色マナが使えるならそれもまたよし。究極的には自ら殴りに行ってカードを引けるから、フィニッシャーとしても資格十分。序盤に拾えたら、意識して構築してみたい。1/3飛行なんかを普段より早めにとってみるといい感じだ。
《次元潜入者/Dimensional Infiltrator》
 リミテッド3.0点
 多芸なクリーチャーだけど、先入観にとらわれず考えよう。突き詰めるとこいつは2マナ2/1の飛行クリーチャーだ。瞬速はサイズ的に、奇襲をかけても相討ちがいいところだが、それでも打消し、除去、ブラフなどマナを立てておくのと相性がいい。無色マナを使う能力の方は、昇華者の餌にしたり、ライブラリー破壊を狙ったり、ダメージから身を守ったりするのに有用だ。派手さはないが色々と小回りがきいて使いやすいので、爆弾レアには及ばないものの中々の実力者とみたね。
《重力に逆らうもの/Gravity Negator》
 リミテッド2.5点
 素のままでも3点寄りの2.5点。無色マナの飛ばす能力が使えるようになったなら、文句なし3.0点に昇格だ。飛行をつける能力が使えなければ、デッキに入れてもいいかなくらいの評価の飛行クリーチャーにすぎないけど、無色マナ源が4枚以上確保できたならご満悦。割と早い段階で取ってもいいかなと思えるよ。
《歪みの預言者/Prophet of Distortion》
 リミテッド1.5(無色マナ源が5枚以上取れたら3.0)点
 ゲートウォッチの誓いにおける《霧の侵入者/Mist Intruder》の称号を贈りたい。安定して能力を起動できるなら、期待の新人として積極的に採用したい。でも無色マナ供給が安定しなければ、お祈りメールを送ることになるかな。個人的には垂涎モノの能力だと思うので、無色デッキを組む際は是非お世話になりたいね。本体が軽いので、出してすぐ起動できるのもいい。複数枚あっても意味は薄いから、何枚も確保するのはちょっと違うけどね。こいつで相手の顔を歪めてやろうと、我先にと手を出す人も多いと思うけれど、無暗に青田刈りするようなカードではないと思う。俺は遠慮しとくよ。
 
 無色をやると決めた、あるいは無色マナ供給源を複数確保したら、はじめて魅力的な選択肢になる感じかな。

◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: White
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月12日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/oath-of-the-gatewatch-limited-set-review-white/
 
 
《ムンダの先兵/Munda’s Vanguard》
 リミテッド4.0点
 双頭巨人戦でこいつを使う幸運に恵まれたけど、ただただ強かった。出して対処されなかったら、後はテキトーな同盟者を一体立たせるだけで簡単に勝てる。同盟者を確保するのはこのセットだとそう難しくないし、うまく機能するよう手間をかけるだけの強さは間違いなくある。トークン戦略との相性が飛び抜けていいけれど、ぶっちゃけお供はなんでもいい。こいつと同盟者が一体の寂しい盤面ですら、毎ターンカウンターが2つ増えていく。圧倒的じゃないか我が軍は。
《ギデオンの誓い/Oath of Gideon》
 リミテッド2.0点
 リミテッドでそうそうお目にかかれないプレインズウォーカーに恩恵があっても、あまりときめかないね。それでもギデオンの誓いは微妙な《急報/Raise the Alarm》ではある。トークンは同盟者だから、それだけでも一応1/1を2体出す呪文として使用には堪えると思う。ガッツリ同盟者に寄せたデッキ以外ではお断りだと思うけどね。
《オンドゥの戦僧侶/Ondu War Cleric》
 リミテッド2.5点
 2マナ2/2の熊で、2点のライフゲインもできるイケメンだ。序盤殴りに行けて終盤もやることがある。2マナ域の鑑。
《救援隊長/Relief Captain》
 リミテッド3.5点
 うまく支援できるようにしてやれば、たった4マナで6/5相当の素晴らしいマナレシオが期待できる。デッキ構築の基本からは逸脱するけど、クリーチャー配分を多めにして支援しやすくすれば、見返りは大きいはず。ピックの段階から変えなきゃいけなくなるから、序盤に取って意識していくと感じだ。中でもトークン生成系のカードや軽いクリーチャーとの相性が抜群。頭数を集めるだけならそんなに難しくはないはずだ。
 
 双頭巨人戦では:支援先が足りなくなることがほぼなくなって、鬼神のごとき性能になる。
《焼尽の光/Searing Light》
 リミテッド3.0点
 戦乱のゼンディカーでもコモンだけで《ギデオンの叱責/Gideon’s Reproach》、《真っ逆さま/Sheer Drop》に《大物潰し/Smite the Monstrous》と3種類もよりどりみどりだったけど、今回もまた白除去が大漁だ。焼尽の光は軽い上、攻めて良し守って良しで使いやすい。もっともブロッカー排除には使えないけどね。火力系の除去と違って、複数枚重ねて単体で対処不能なものに対処する使い方はできないけれど、たまに2/5とか倒せてドヤ顔できると思う。
《戮力協心/Shoulder to Shoulder》
 リミテッド2.5点
 使うならデッキに少なくとも14はクリーチャーがほしい。できれば軽めのクリーチャーだと尚良し。そこらの強化呪文など寄せ付けない。ソーサリーだからコンバットトリックとは性質が違うけど、カードを消費せずにカード1枚分の効果が得られる。アド狂信者大歓喜。
 
 双頭巨人戦:支援とチームメイト。後は言わなくても分かるね?
《落とし子縛りの魔道士/Spawnbinder Mage》
 リミテッド1.5点
 安定して起動できない場合、本当に残念なカードに成り下がる。4マナ2/4バニラは即戦力スペックじゃないし、盟友能力が起動できても、クリーチャー2体を使うタッパーというのも今一つピンとこない。同盟者にかなり寄せたデッキなら1枚くらい採用するかもしれないが、それだけだ。
 
 双頭巨人戦では:打って変わって結構使える。大雑把にいって2倍のクリーチャーを相手にすることになるわけだけど、その中から一番強いところを封殺できる。その上めまぐるしく変わる状況に応じて対象変更が可能だ。双頭巨人戦では大体片方が安定してこいつをタッパー運用できる同盟者デッキになるし、是非使いたい。
《草原の滑空獣/Steppe Glider》
 リミテッド3.0点
 能力が使えなくても、5マナ2/4飛行・警戒の時点で採用。明日から来てくれる?安定して能力が起動できるなら、《幽霊の歩哨/Ghostly Sentinel》より、ずっと強い!!と言っても壮言大語にはならないはず。
《岩屋の装備役/Stone Haven Outfitter》
 リミテッド2.0点
 テキスト欄だけ見れば心躍ることが書いてあるんだけど、ゲートウォッチの誓いにはコモンで《骨の鋸/Bone Saw》があるだけ。怒涛があっても入れたくないレベルの装備だ。アンコモンの装備は多少マシだけど、わざわざこいつのためだけに優先度を高めて集める気にはなれない。そんな装備で大丈夫か?それでも2マナ2/2だから、間違いようがないけどね。いずれにせよ、デッキに装備が入ってればそれに応じてちょっと強くなるよ。同盟者でもあるからお好みでどうぞ。
《石鍛冶の見習い/Stoneforge Acolyte》
 リミテッド0.5点
 おいおい《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》再来かぁ?禁止!リミテッドでの採用は禁止だ!同盟者を集めつつ、安定して装備を探しに行けるシチュエーションが真面目に思いつかない。ありえないと断言はできないけどさ。
《復興の壁/Wall of Resurgence》
 リミテッド2.0点
 強すぎる!って意見も聞いたけど、冷静に考えてみてほしい。実際のところ、こいつはタダで3/3がついてくるわけでもなければ、カード1枚で2枚分の戦力を追加するカードでもない。確かにゲーム終盤では1:2交換に近くなるものの、序盤に展開してしまうと、その土地を割られる危険性がある。序盤に土地を破壊されるのは結構痛い。それにただの0/6の壁も、土地を3/3に変えるカードも、どちらも単体ではカード1枚としては物足りない。組み合わさって初めて、立派にカード1枚分といったところだろう。複数のブロッカーが必要で、土地を1枚くらい差し出しても構わないという状況で使うのがベストだから、やっぱり長期戦向け。こうして考えてみると、軽い代わりにちょっと控え目なところ以外、他の覚醒スペルに近いかもしれない。
 
 総合すると、十分使えるカードだし、活躍するような場面もあると思うけど、単純に1:2交換ができるカードではないし、0/6と3/3の両方が素晴らしく役立つというようなデッキは限られるんじゃないかな。

 
 白のコモントップ5
 5.《戮力協心/Shoulder to Shoulder》
 4.《コーの空登り/Kor Sky Climber》
 3.《オンドゥの戦僧侶/Ondu War Cleric》
 2.《焼尽の光/Searing Light》
 1.《孤立領域/Isolation Zone》
 
 《鑽火の輝き/Immolating Glare》が間違って最初コモンとしてリストに入っていたけど、除外したよ。 LSV
 
 上位2種に除去を載せられる嬉しさよ。一方でクリーチャーの順位はまだはっきりしない。軽く、能力を繰り返し使える《オンドゥの戦僧侶/Ondu War Cleric》を上としたけれど、起動には同盟者が必要だから、《コーの空登り/Kor Sky Climber》と比べて少し安定しないかもしれない。コンバットトリックや前のめりなクリーチャーといった、攻めるのに向いたカードはあるものの、飛行に頼らず地上だけでビートダウンが可能かどうかはまだわからない(戦乱のゼンディカーだけのときは、飛行を使わず殴りきるのは難しかった)。同盟者もやたら数が増えたけれど、《ムンダの先兵/Munda’s Vanguard》みたいなレアを除くと、あまり同盟者だけで固めることに意義を感じるカードは少ない。
 
 明日は青をレビューするよ。ああ、《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》と《掴み掛かる水流/Clutch of Currents》が恋しい。
◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: White
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月12日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/oath-of-the-gatewatch-limited-set-review-white/
 
 
《イオナの祝福/Iona’s Blessing》
 リミテッド1.5点
 効果はなかなかのものだけれど、環境に存在するコモンやアンコモンで簡単にやり込められてしまう。対処されなければゲームを決めるだけの力があるから、バウンスや確定除去の少ない相手に対するサイドボードとして使いたいかな。あと、22枚目や23枚目のカードとして入れるならいいかも。何せハマったときの強さは見るべきものがあるからね。ぼんやりしたカードを入れるよりいいだろう。
《孤立領域/Isolation Zone》
 リミテッド3.5点
 この重さとソーサリータイミングの除去であることを考えても、確定除去は貴重だ。エンチャントも対処できるから、相手が何かエンチャントで危険なものを仕掛けてきたときの保険にもなる。昇華者との相性もいいけれど、戦乱のゼンディカーが1パックになってしまったので、あまり昇華する機会はなくなってしまった。
 
 4マナより重たいカードだから、枚数があって嬉しい手合いではない。とはいえ確定除去だから、2枚までなら躊躇せずに採用するね。
《コーの鎌使い/Kor Scythemaster》
 リミテッド2.0点
 同盟者で相手に突っ込んでくデッキならうってつけ。そうでないなら、カマとかと仲良くするのは誤解されかねないから距離を取ろう。
《コーの空登り/Kor Sky Climber》
 リミテッド2.5点
 3マナ3/2の時点で悪いカードではない。それに中々の能力が付いたなら、そら強いでしょう。その上同盟者だから、白いデッキならまず入ると言い切ってしまって差支えないと思う。超コントロール志向のデッキなら積極的に手を出そうとは思わないかもだけど、そういうデッキでも、相討ちを取るための3マナクリーチャーは必要なもんさ。
《保護者、リンヴァーラ/Linvala, the Preserver》
 リミテッド5.0点
 相変わらず、白い神話はぶっ壊れで優遇されてますな。リンヴァーラは序盤中盤終盤どんなときに引いても完璧すぎるカードだ。能力が全く誘発しなくても6マナ5/5飛行だ。本人の素のスペックで十分強いけれど、景気づけの強烈な一発がないと押し返せないようなとき、真に輝くと言っていいだろう。両方の能力が誘発したなら、ぶっ飛んだアドバンテージを稼げる。しかもこっちが少し気をつければ、両方が誘発するようなゲーム展開をすることも難しくない。リンヴァーラを持っていることがばれても、だから何?展開も攻撃もせず、指をくわえて大人しく待ってることはできない。だって結局リンヴァーラは5/5飛行として出てくるわけだからね。
《抗戦/Make a Stand》
 リミテッド1.5点
 《取り囲む地割れ/Encircling Fissure》と同じく、《抗戦/Make a Stand》も中々のドしゃくりができると思う。地割れと違ってクリーチャーがいないと使えないから、どんなデッキにも入るカードじゃない。お互いにクリーチャーを並べあうようなゲームではかなりの威力を発揮するだろうから、まずサイドボード要因としては優秀といっていいだろう。
《マキンディの飛空士/Makindi Aeronaut》
 リミテッド1.5点
 音楽性の違いから長らく同盟者入りを拒んでいた飛んでるコーも、ついに同盟者になった!それはともかく、こいつも他の同盟者と同じく、同盟者デッキで使えば強く、そうでなければ微妙とか、そんな一員だろう。守るデッキで1/3飛行はそれなりに嬉しいから、1枚くらいは入れたい。早めに確保しようとは思わないけどね。
《力強い跳躍/Mighty Leap》
 リミテッド1.5点
 戦乱のゼンディカーリミテッドでは、コンバットトリック全般が大分使いにくかった。1.5点と渋めにつけてあるのもその延長。シナジー環境では、コンバットトリックとかは意味が薄くなってしまう。最初から眼中にないと力強く力説してもいいくらいだ。地上戦主体の白ビートダウンが有力なら、価値を上方修正してもいいね。

◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: White
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月12日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/oath-of-the-gatewatch-limited-set-review-white/
 
 
《まばゆい反射/Dazzling Reflection》
 リミテッド1,5点
 結構面白いと思う。最初見たときは、修正が入らないから反射的に弱いコンバットトリックだと思ったけれど、ダメージレース中なら悪くないかもしれない。5点分のダメージを受け止めつつ5点ライフゲインすれば、レースでは合計10点分に相当するし、その過程でクリーチャーを守ることもできる。ダメージレースを仕掛けるデッキでは素晴らしい働きをしそうな気もするけれど、でもコントロールデッキ相手やコントロールデッキで使うのには今一つだと思う(少なくともそういう場合が多いと思う)。過大評価されそうなカードだけど、強いときはとことん強いと思う。最初はサイドボード要員として考えてるけど、環境が見えてきたら価値が変わりそうなカードだと思うよ。
《探検の猛禽/Expedition Raptor》
 リミテッド2.5点
 《同盟者の援軍/Allied Reinforcements》同様4/4相当で、そのうち半分は飛行がくっついてる。ただ援軍と違うのは、いつでも必ず4/4ではないということ。お供が2体いないといけない。クリーチャー多めのデッキなら強いだろうけど、頭数が10~12体程度のデッキでは入れないこともあると思う。
 
 これに限らず支援と書いてあるカードは、双頭巨人戦だと普通のリミテッドより価値が上がるから、こいつも俄然採用したくなるというもの。でも、双頭巨人戦ではカードパワーも高くなるので、とりあえず入れるとまではいかないけれど、どのくらい支援が活きるかお互いのデッキを見て考えるといい。実は幸運にも、世界に先駆けてゲートウォッチの誓い双頭巨人戦を楽しむ僥倖に預かったのだけれど、プールに猛禽が2枚いたのに、最終候補止まりで1枚もデッキに入らなかった。
《タズリ将軍/General Tazri》
 リミテッド3.5点
 5色カードは使うのすら難しいと言いたくなる性分だけど、テキストの後半がなくてもやれる偉い奴だ。5マナ3/4で同盟者を持ってこれるのは十分偉いから、適当に2枚くらい同盟者を入れておくだけでアドバンテージになる。能力のためにマナ基盤に無理をさせたくはないけれど、同盟者のため既に4色とかになってたりするときは、ちょっと無理して5色目を足すくらいはしてもいいかも。
《鑽火の輝き/Immolating Glare》
 リミテッド3.0点
 軽くて使い勝手のいい除去は大好物。受けに回らなきゃいけないけれど、そのくらいは全然へっちゃらだね。あまりマナを立てておく必要がないから、6ターン目くらいになれば、何か他の物を唱えつつ構えることもできるだろう。《神聖なる評決/Divine Verdict》みたいに不自然なまでにマナを立てなくて済むから、相手に警戒されにくい。もっとも、こちらは評決と違って、攻めてるときはあまり役に立たないけどね。大体どんなデッキにでも入るといっていいと思う。あまりに殴ることしか考えない脳筋には入らないかもしれないけど、前のめりなデッキだって攻撃は受けるわけだしね。

◆ 【翻訳】ゲートウォッチの誓い リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Oath of the Gatewatch Limited Set Review: White
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年1月12日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/oath-of-the-gatewatch-limited-set-review-white/
 
 ゲートウォッチの誓いのリミテッドレビューへようこそ!いつも通り、最初に評価について少し書いておくよ。
 
 ・点数の数値はカードがどの程度のものなのか手っ取り早く掴むためにつけているけれど、カードの評価はどんなデッキで使うか、どんなマッチで使うかといった、カードを取りまく状況が全てだ。だからこのカードを見てどんなことを考えてるとか、なんでこの点数だとか、どんなことがあれば評価を上げるとか下げるとか、数字だけじゃなく内容の方も見てほしい。例えばだけど、《霧の侵入者/Mist Intruder》は然るべきデッキで使えばとても優秀だが、デッキと合わなければ噛み合わないクソザコナメクジだ。できる限り、それぞれのカードがどんなとき、どんなデッキで輝くのか(もしくは輝かないのか)を説明したい。点数ではそこまで繊細な情報が表現できないからね。
 
 ・ゲートウォッチの誓いは双頭巨人戦用にデザインされているとのことなので、複数のプレイヤーを対象に取るとか、チームメイトにも恩恵があるとか、そういった双頭巨人戦要素もできる限り言及していくつもりだよ。
 
 ・それぞれ点数がどのくらいの強さか分かるように、下に評価基準を貼っておくよ。当たり前だけど、絶対的なものじゃない。あと実際にプレイしたら評価が変わるだろうから、実際に使ってみたら全然予想と違ったものに関して再レビューしたい。1か月くらい後になるかな?
 
5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。《城塞の包囲/Citadel Siege》、《風番いのロック/Wingmate Roc》、《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処できなくはない。《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》、《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》、《氷瀑の執政/Icefall Regent》、《搭載歩行機械/Hangarback Walker》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。《ケラル砦の修道院長/Abbot of Keral Keep》、《ジェスの盗人/Jhessian Thief》、《究極の価格/Ultimate Price》

 3.5点 トップコモンや強力なアンコモン。《分離主義者の虚空魔道士/Separatist Voidmage》、《焦熱の衝動/Fiery Impulse》、《勇壮な対決/Epic Confrontation》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。《死橋のシャーマン/Deadbridge Shaman》、《空荒らしの巨人/Skyraker Giant》、《狩漁者/Watercourser》

 2.5点 まず抜けることのないカード。《骨読み/Read the Bones》、《シルムガルの解体者/Silumgar Butcher》、《龍傷負いの熊/Dragon-Scarred Bear》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。《投げナイフ/Throwing Knife》、《チャンドラの憤怒/Chandra’s Fury》、《巧みな機動/Artful Maneuver》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。《巨森を喰らうもの/Vastwood Gorger》、《飛空士の修繕屋/Aeronaut Tinkerer》、《暴れ玉石/Cobblebrute》

 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。《茨弓の射手/Thornbow Archer》、《深海の恐怖/Deep-Sea Terror》、《アクロスの看守/Akroan Jailer》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。《破壊行為/Vandalize》、《虚空の罠/Void Snare》、《集い/Congregate》

 0.0点 役立たず。《陶酔/Fascination》、《無限の抹消/Infinite Obliteration》

 
 
《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》
 リミテッド3.5点
 無色のクリーチャーを入れることでの見返りが薄い色とはいえ、3マナ3/3欠色は悪くない。起動型能力は強力無比で、まさに(◇)を要求する能力はこうであってほしい。お手本のような能力だね。唱えるためのマナは「普通の」白でいいから、安心してデッキに入れられるのも嬉しい(逆だったらこうはいくまい)。すんなり3ターン目に出して、そのうち能力が使えるようになる。やったね!
 
 デッキに無色マナ源を2枚程度仕込む目処がついたら、戦場に出たときいい感じの能力が誘発する連中を集めるように意識してみよう。もともとそういった連中は関係なく高評価で早めに消えてしまうけど、ま、特別なものがなくても、ブロッカーをどかしたり、相手の攻撃クリーチャーのダメージを無効化したり、除去から自軍を守ったり有能だ。どのくらい無色マナが取れるかはドラフト序盤に分かることではないし、序盤から無色マナソースばかり集めると選択肢が狭まるものの、無色マナソースが3~5枚集まったなら4.0点をつけていいだろう。
《アーファの守護者/Affa Protector》
 リミテッド1.5点
 守りに使えば固いものの、早めに手を出したくなるような、しゅごい奴とはとてもいえない。1/4が環境的にとても有効という可能性はあるけれど、おそらく採用されるとすれば同盟者であることを買われてになるんじゃないかな(同盟者として入れるならぐっと価値が上がるかもね)。
《同盟者の援軍/Allied Reinforcements》
 リミテッド3.0点
 4マナ4/4相当は中々優秀だ。それに戦乱のゼンディカーにいた同盟者の結集を2回誘発させられる。盟友を使うためのタネにもなるし、コスト相応に嬉しい呪文じゃないだろうか。同盟者デッキでなくても採用できると思う。2/3が並ぶようなマッチではサイドアウトするだろうけどね。
《ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatch》
 リミテッド0.0点
 仮にプレインズウォーカーが取れたとしても、1体取れたから飛びつきたくはならないと思う。確かに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》はリミテッドじゃぶっ壊れだが、先にギデオンを引いて産廃になる可能性のあるカードは、とてもじゃないが魅力的とは思えない。3マナも支払うのに戦場に何ら効果を及ぼさないカードだから、その時点で結構怪しい。プレインズウォーカーが2体デッキに入っているような状態は相当レアケースだろうから、0.0点ということにして次にいこう。

◆ 色即是空、空即是色

 今日もお仕事頑張るぞー。

 虚空を眺めて過ごします (=゚ω゚)ノ

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