◆ 【翻訳】イニストラードを覆う影 リミテッドレビュー 黒 (by LSV)
 
 Shadows over Innistrad Limited Set Review – Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年3月30日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/shadows-over-innistrad-limited-set-review-black/
 
 
《リリアナの憤り/Liliana’s Indignation》
 リミテッド1.0点
 重い昂揚達成手段兼墓地肥やし。相手にライフを失わせる効果として見ても非効率的。クリーチャーぎっしりの構成で殴ったり墓地をいじったりするデッキなら入るかもしれないけど、入れないのが常道だろう。
《死の円舞曲/Macabre Waltz》
 リミテッド2.5点
 オリジンでの再録なんかとは運用方法が大分違ってくるはず。何をおいても、カードを捨てる際にマッドネスを使えるし、きっと楽しいはず。墓地活用との相性が実にすばらしいから、黒ならどんなデッキでも1枚は入れていいんじゃないかと思うくらいだね。特にマッドネスを積極的に狙うデッキなら複数枚あってもいいかも。クリーチャーでも除去でもない呪文だし、デッキによっては枠が足りないだろうから、3点はあげられないけどね。
《マルコフの戦慄騎士/Markov Dreadknight》
 リミテッド3.5点
 レア枠からこれが出てきたら金銭的には戦慄しそうだけど、リミテッド的にはかなりのもの。死なないでターンが返ってきたら、5点7点と殴ってゲームが終わる。大きくするのにリスクはあるけれど、それだけの価値はあるよ。
《無慈悲な決意/Merciless Resolve》
 リミテッド1.5点
 《予言/Divination》を亜種まで含めて愛してやまない俺でも、こいつはちょっと考えものだ。使うなら生贄にうってつけなクリーチャーのあてがあるとか、土地を墓地に送って昂揚するためとか、はっきりしたゲームプランが欲しい。使うデッキは選ぶよ。
《精神壊しの悪魔/Mindwrack Demon》
 リミテッド0.0もしくは3.5点
 ちょっと評価が難しい。出して昂揚を達成できないと、自身とのダメージレースで負けている都合上、プレイヤーがお亡くなりになる可能性がある。除去やバウンスなどを持たれていたら尚のこと悲劇(《金縛り/Sleep Paralysis》はやめろよ絶対だぞ)。使うなら先に相手をぶち殺すビートダウンか、安定して昂揚を達成できるデッキにしたい。条件さえ合えばデッキの中でも最強クラスのカードに変貌するよ。そこまで頑張って昂揚しないデッキで、終盤安全に昂揚してから出すというのも選択肢ではある。それでも悪くない程度の強さだしね。ただ評価は難しい。デッキに入れるにも、唱えるにも、判断しなければならないことが多すぎる。そしておそらく、ピックすべきでない人がピックしたり、唱えるべきでないタイミングで唱られたりされるカード筆頭だろうね。
《モークラットの屍蛞蝓/Morkrut Necropod》
 リミテッド2.5点
 7/7でチャンプブロックするにも2体差し出さないと許さんというのは中々いいじゃないか。土地かクリーチャーというのは無視できるコストではないにせよ、一向に差し出して構わんよ。マナカーブの頂点にぴったり。数発で相手は昇天だ。
《殺人衝動/Murderous Compulsion》
 リミテッド3.0点
 フレイバー評価:A+ まるで血まみれのブライアン・キブラープレイマットだ。
 
 黒1無色1の《暗殺/Assassinate》という時点で普通に使えるし、手札を捨てる手段があればインスタントとタイミングで唱えられる分、暗殺の欠点である1回は殴られるという部分を克服したとすらいえる。まったくどんだけ上位互換だよ!ほぼあらゆるデッキで使っていい除去だし、マッドネス手段が多いデッキだと相当使い勝手がいいだろう。《暗殺/Assassinate》系のカードは普通、一発殴られてライフを失ってからの除去になるせいで、複数枚あると苦しかったんだけど、マッドネス手段さえ豊富ならこいつは気にしなくていい。マッドネスのあてがあるならかき集めていいよ。
 
《オリヴィアの血誓い/Olivia’s Bloodsworn》
 リミテッド3.0点
 赤黒吸血鬼ビートダウンに行くと決めたら、点数は本来の3.0点からぐっとあげていい。ただクリーチャーが重要な理由の一つはブロックできるからで、黒くてもブロックできないこいつは要らないデッキになる可能性は十分ある。ということで平時は大人しい点数に落ち着いてもらうことにした。殴るデッキなら2マナ域の中でも相当優秀な方だから、相応に扱ってやろう。
《トロスタッドの死騎手/Pale Rider of Trostad》
 リミテッド2.0点
 ビートダウンには申し分のないカードだけど、マッドネスデッキでの素晴らしさを思うと、2ターン目から強引に殴るプランが霞んで見える。3~4ターン目にこれを出しつつマッドネスするのは超強力だし、2ターン目やることがなければアド損でも出してしまっていい。最悪手札最後の1枚として出せば、デメリットのない2マナ3/3だ。
《知恵の拝借/Pick the Brain》
 リミテッド1.0点
 昂揚云々はリミテッドだとフレーバーテキストだから、基本《強要/Coercion》として考えよう。先人の知恵を拝借すると、こいつはコントロール用のサイドボードだよ。緊急時メインに入れるようなことがあるとしても、ピック序盤に手は出さない。
《腐臭ネズミ/Rancid Rats》
 リミテッド3.0点
 くさそう。接死がついてるのは、あまりの臭さに死んでしまうとかそういうの?1/1接死は2マナの価値があるし、防御的なカードであるとはいえ潜伏もついているのは嬉しい。
《無情な死者/Relentless Dead》
 リミテッド4.0点
 あまりに無情すぎる強さ。回避能力付きで攻撃してくる上、この上なく除去りにくく、やっと殺したと思ったら他のゾンビが帰ってくる。《恐血鬼/Bloodghast》《墓所這い/Gravecrawler》《目覚めし処刑者/Risen Executioner》あたりと比べて珍しいことにブロックにも参加できる。ブロックまでできてしまうとか頭がクラクラするねまったく。もしブロックに参加できなくても、攻撃性能やアドバンテージ的に3.5点は進呈するつもりだったけど、ブロックで地上のビートダウンを翻弄できて、ついでに他のゾンビがいたらアドバンテージまで稼げてしまうとなると全く酷いカードだと思う。
 
 軽く、強く、粘り強く戦えてアドバンテージ面でも嬉しいとは、参った。こりゃ強いわ。
《腐敗心のグール/Rottenheart Ghoul》
 リミテッド1.5点
 ゴミのようなマッドネス手段。相手に地上での攻撃を躊躇わせるのが主な用途だとも追うけど、自分を対象に取ることもできる。2/4メリット能力付きとしてデッキに入らなくはないけど、周りにもっと優秀な面々がいるから肩身が狭いね。
《療養所の骸骨/Sanitarium Skeleton》
 リミテッド1.0点
 何度も帰ってくるブロッカーとして見ると残念な点が多い。まず1/2のために毎ターン4マナは支払えない。4マナも拘束されてしまうのでは、他の選択肢が相当狭まってしまう。どちらかというと、墓地肥やしや、カードを捨てる能力とのシナジー、あとは生贄用の餌といった用途のがいいだろう。デッキによっては入れるかもしれないが、あんまりあてにはならない。
《よろめく帰還/Shamble Back》
 リミテッド1.5点
 超強力とかそんなことはないものの、ちょっと嬉しい効果がいろいろついててお買い得感がある。相手の昂揚を邪魔したり、墓地から能力を使えるクリーチャーを追放したり、ライフゲインをしたりと多芸。1ターン目には対象がなくて唱えられないから、1マナ2/2では間違ってもない。まあ1マナにどれだけを求めるんだって話だね。
《悪意の調合/Sinister Concoction》
 リミテッド3.5点
 起動コストのフレイバー評価:A-
 
 起動コストにやたらゴチャゴチャとついているけど、重要なのは手札を捨てるのと生贄に捧げるって部分だ。2マナ除去でマッドネスのタネにもなるのはセット的に優秀で、自分のライブラリーを削るのも欠点ではなくむしろ利点といえる。墓地に落ちにくいエンチャントながら墓地に行ってくれるから、昂揚達成にも優秀だ。しかも軽いというのが重要でね。昂揚とかマッドネスとは無縁というデッキでも、アドバンテージ損失と引き換えに軽く唱えられる《稲妻の斧/Lightning Axe》は使いたいよね。稲妻の斧を引き合いに出して考えてくれるとわかりやすいと思う。何かしら昂揚やマッドネス要素があるなら喜んで使うよ。
《灰口の雄馬/Stallion of Ashmouth》
 リミテッド1.5点
 基本《丘巨人/Hill Giant》で後半パンプできるという点だけ見るとそこまで悪くない。昂揚を狙わない限り抜けていくことが多いと思うけど、逆に昂揚を戦略の中心に据えたデッキならまず入るとおもっていいと思う。ただ、昂揚すれば強くて昂揚しないと普通という、この手のカードは結構他にもごろごろいるから、優先する必要はない。替えが効くし。
《流城の導師/Stromkirk Mentor》
 リミテッド1.0点
 安定してカウンターを乗せられるなら悪くないけど、上振れたとき強くて、そうでないとき弱いというのはそそられない。まあ取ろうと思えばいっぱい集まるんじゃないかな。
《絞首/Throttle》
 リミテッド2.0点
 初出のタルキール覇王譚でまあまあだったから、今回もまあまあ使える平凡な除去。除去りたいやつは大体除去できる代わり、別段効率良かったりはしない。
《餌食/To the Slaughter》
 リミテッド1.0点
 雰囲気満点なテキストにイラスト。でもリミテッドでは大体3マナの《悪魔の布告/Diabolic Edict》だ。大体は本命以外のものを生贄にされて終わり。相手にプレインズウォーカーがいて、たまたまサイドにこれがあったら入れてもいいかもね。
《歯牙収集家/Tooth Collector》
 リミテッド3.0点
 別段昂揚する予定がなくても、場に出たときタフネス1のクリーチャーを咎められる3/2で十分だ。昂揚できたら小型のクリーチャーが存在することは許さない。あと、誘発のタイミングが相手のアップキープだから、サイズを下げてうまく攻撃できないようにするのもいい。
《十三恐怖症/Triskaidekaphobia》
 リミテッド1.0もしくは3.6055点
 イラスト評価:A+
 
 実に奇妙だけどフレイバーに溢れたカードで、しかも全くのネタというわけでもない。冗談みたいに見えるが(実際面白い冗談だ)、毎ターンライフゲインもしくはライフルーズの効果は結構なもの。コントロールが組めたとき、場合によっては立派なフィニッシャーを務めることだってあるかもしれない。双方が何とかしてライフ13点にならないよう踊り狂うのは、きっと忘れられない体験になるだろう。毎ターンライフを得れば、トドメをさすのは困難になるし、打って出た後ライフルーズさせていけば、削るべきライフが20点より下になる。痩せた戦略に見えるかもしれないけど、俺は是非試してみたいね。
 
 最初見たときは、《トリスケリオン/Triskelion》恐怖症かな?と思ったよ。あるいはゴルゴ恐怖症とか。
《マウアー地所の双子/Twins of Maurer Estate》
 リミテッド2.0点
 マッドネスなしだと、由緒正しき《スレイベンの純血種/Thraben Purebloods》止まりだ。俺は別段ヒトの血統とか詳しくないけど、案外この娘たちも純血のスレイベン人で間違いじゃないかもしれない。それはともかくマッドネスで出せば、軽く出せて中々の戦力になる。コモンとして、マッドネスを追求するときお世話になりそうだね。3マナでそこそこ安定して(確率的に50%くらい?)出せないなら入れたくないけど、まあ5マナで唱えても負けってほど悪くはないよ。
《吸血貴族/Vampire Noble》
 リミテッド1.0点
 全体を見回してみて結構セット全体が強いから、こんな平凡なバニラを無理して使わなくてもいいんじゃないかと思う。そこまで露骨に吸血鬼推しでもないみたいだし、2/2とか2/1が結構いるから、使うのは貴族の遊びでどうぞ。
《悪意の器/Vessel of Malignity》
 リミテッド2.0点
 追放で良かった。手札破壊しようとしてマッドネスとか言われたら寒すぎる。置いて2マナ起動して2マナの合計4マナと考えれば、手札破壊として割高でもないから、特別シナジーとか考えず使っていいと思うよ。例によってターンをまたいで分割払いできるのは大きいし、墓地に落ちにくいエンチャントなので昂揚も達成しやすい。別に《精神腐敗/Mind Rot》贔屓で言ってるんじゃないよ(精神腐敗は《予言/Divination》の反対、つまり実質予言と考えれば俺の気持ちが伝わるはず)。環境にうまく適合した手札破壊だね。

 
 黒のコモントップ5
 1.《死の重み/Dead Weight》
 2.《殺人衝動/Murderous Compulsion》
 3.《闇告げカラス/Crow of Dark Tidings》
 4.《グール呼びの共犯者/Ghoulcaller’s Accomplice》
 5.《遠沼の亡霊/Farbog Revenant》
 
 1位と2位はまあわかりやすい。死の重みと殺人衝動は、死の重みの方に軍配を上げたい。デッキによっては殺人衝動が上に来ることもあるだろうけど、死の重みはあまりに軽くて無駄がなく使いやすい(しかも墓地に行きにくいエンチャントなので昂揚にも貢献する)。あとの3枚は団子状態で、ベスト5には入らなかった《マウアー地所の双子/Twins of Maurer Estate》もそれほど3~5位と評価が離れてるわけじゃない。本気でマッドネス祭りをするなら、上3枚の代わりに双子を取ると思うよ。でも殴るデッキ、もしくは昂揚を狙うデッキなら、闇告げカラスを取る方がいいと思う。
 
 墓地関連やマッドネス要素が多くて、今回の黒はシナジーの色で、その上ビートダウン用のカードもちらほらある。他の色と比べても特に、いろいろ組み合わせて楽しむと捗りそうだ。
 
 
 LSV

コメント

お気に入り日記の更新

お気に入り日記

登録したユーザー
384
登録されたユーザー
1001

この日記について

日記内を検索