【翻訳】イニストラードを覆う影 リミテッドレビュー 白 (by LSV) 後編
2016年3月31日 翻訳◆ 【翻訳】イニストラードを覆う影 リミテッドレビュー 白 (by LSV)
Shadows over Innistrad Limited Set Review – White
Luis Scott-Vargas, 2016年3月28日
http://www.channelfireball.com/articles/shadows-over-innistrad-limited-set-review-white/
白のコモントップ5
1.《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar》
2.《天使の粛清/Angelic Purge》
3.《刺し込む光/Puncturing Light》
4.《薬剤師の霊/Apothecary Geist》
5.《刹那の器/Vessel of Ephemera》
見る限り、はっきり最強と断言できるコモンはなさそう。《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar》がマナ効率とカードアドバンテージ的に優秀なので、当座の1位だろう。《天使の粛清/Angelic Purge》はちょっと怪しい。何枚も投入できるカードじゃないんだが、1枚は欲しい。3~5位は似たり寄ったりで、デッキによって優先順位は変わるだろうし、トップ5圏外の《眠れぬ者の使者/Emissary of the Sleepless》が入ってくることだって考えられる。
白はスピリット、人間、昂揚と色々な方向に舵を切ることができそうで、3つの重なり合う領域もあるのが面白そう。色々なデッキが妄想できるけど、現実的なのはどれか、夢で終わるのはどれか、はたまたどれだけ手がかりを集められるか……。
LSV
Shadows over Innistrad Limited Set Review – White
Luis Scott-Vargas, 2016年3月28日
http://www.channelfireball.com/articles/shadows-over-innistrad-limited-set-review-white/
《奇妙な幕間/Eerie Interlude》
リミテッド1.5点
消えるかどうか選べるようになった。王道な進化を遂げた《霊の通り路/Ghostway》だね。除去からクリーチャーを守ったり、誘発型能力を再利用できたりと、派手さはないものの色々できていい感じだ。全体除去をかわすのに最適だし、《月銀の拘束/Bound by Moonsilver》みたいなエンチャント除去にも効果的だから、サイドから投入したい。メイン採用するかどうかはよく考えないとだけどね。
《眠れぬ者の使者/Emissary of the Sleepless》
リミテッド2.5点
大量のクリーチャーを展開しないのなら、標準より重い凡庸な飛行生物。でもクリーチャー多めの構成で積極的に殴るデッキでなら、死者が出やすくて相当強いんじゃないかな。思惑通りにいかなくてもそこそこ、うまくはまればとても強いという、2.5点を体現したようなクリーチャーだ。
《天上からの導き/Ethereal Guidance》
リミテッド0.5点
《大群の殺到/Swarm Surge》みたいに、ハマったときだけ強いマニア向けのカード。もっとも大群の殺到は、予想より遥かに強力だったけどね。大群の殺到と比較して、こちらは飛行クリーチャーとあわせて使う想定なんだろうか。投入するなら思い切り飛行クリーチャーを多くしたい。でも航空戦力が充実してるデッキって、別にこういうカードがなくても強いんだよね。強さの天井は見えてるから、ちょっとお勧めできないな。
《邪悪の暴露/Expose Evil》
リミテッド2.0点
速攻デッキでは、こういうタップさせるカードがバカにならないので、どうして中々憎めない。合計4マナ払えばカードの消費もない。分割払い可能なのもいい感じだ。
《グリフの加護/Gryff’s Boon》
リミテッド1.5点
実質装備品みたいなオーラだね。装備品と違うのは、墓地からしか戻せないのと、付け替えが不自由なこと、それに最初唱えるとき軽いというあたりだ。効果そのものは秀逸だし、再利用できて回避能力もつくから、前のめりなデッキで使うならとても優秀だと思う。もっとも適当に取るというよりは、はっきり殴りに行く覚悟を固めてから手を出したいカードかな。
《ハンウィアーの民兵隊長/Hanweir Militia Captain》//《ウェストヴェイル教団の指導者/Westvale Cult Leader》
リミテッド3.5点
基本が熊で将来性もあるクリーチャーはいつでも歓迎さ。色さえ合うならどんなデッキにも入るだろう。クリーチャーを多めに採用するデッキでは、裏面がとても強化されるので特に高評価したい。とはいえ大体は2マナ2/2として使うことになるだろうから、過度に期待するのはよしとこう。適当にクリーチャーが並んで盤面が膠着したら、後は放っておくだけでいい。宗教の怖さを眺めて楽しもう。
《死中に活/Hope Against Hope》
リミテッド2.0点
あまりオーラを入れるのは好みじゃないんだけど、1:2交換を取られるリスクを計算に入れて尚、あまりに強力なので認めざるを得ない。デッキが白ければ、人間が自然と多くて恩恵に預かれそうだし、適当な1/1飛行あたりにつけてもいい。相手が除去を持ってないかヒヤヒヤすると思うけど、+4/+4以上の修正値が見込める以上、対処できる除去も限られる。見返りは果てしなく大きいよ。コモンに対処手段が複数ある、青いデッキ相手には抜いたほうが無難だろうね。
《粗暴者の貶め/Humble the Brute》
リミテッド2.5点
フレイバー:C-(《粗暴/The Brute》オーラがついたクリーチャーに再生されるとかどういうこと?)
戦乱のゼンディカーほど巨大クリーチャーがそこかしこに溢れてるわけじゃないが、1枚はすんなり入れていいと思うし、まあそもそもアンコモンだから2枚以上取れることもそんなにないだろう。除去してドローまですると結構マナを喰うものの、重いだけの価値はあるから、こいつを使って遊ぼう。相手のデッキにデカブツが多いのを見てからサイドインしてもいいね。
《審問官の雄牛/Inquisitor’s Ox》
リミテッド2.5点
雄牛は4マナ2/4って決まってるだろ!とはいえ現実世界では、雄牛って危険な生き物だからね。熊より雄牛に殺される可能性のほうが遥かに高いらしいし。昂揚すると超強くなるから、それまではのんびりブロックに回ってもらおう。
《鼓舞する隊長/Inspiring Captain》
リミテッド2.0点
本質的には色拘束の薄くなった《アンプリンの戦術家/Ampryn Tactician》だけど、まあ机上で戦術を練るより、鼓舞する方が戦場には出て行きやすいわな。スピリット・トークンとの相性もいいし、人間で殴る連中との相性の良さは言わずもがな。守るデッキでは使わなくていいと思う。
《戦闘的な審問官/Militant Inquisitor》
リミテッド1.5点
肝心の装備に微妙なものが多いので、使うならほぼほぼ3マナ2/3扱いだと思う。いつでも入れたいカードじゃないにしろ、まあまあ使えるんじゃないかな。
《ムーアランドの流れ者/Moorland Drifter》
リミテッド2.5点
2マナで終盤飛行が付くというのは中々嬉しい。このくらい基本スペックがあると、昂揚のために工夫を凝らさなくてもすんなり使えるね。普通に使って良し、たまたま昂揚を達成してるならちょっと強い。昂揚すること前提で、昂揚しないととても採用しかねるカードもあるけれど、こいつは昂揚を当てにしなくても使える奴だ。
《ナヒリの策謀/Nahiri’s Machinations》
リミテッド1.0点(赤白ビートダウンなら2.5点)
赤白で前のめりなデッキで使うなら相当な強さだと思うんだけど、色や戦略が合わないならお粗末な性能だ。ビシッとした点数をつけられないのは、そんな事情がある。赤白ビートダウンで使うなら2.5点か3.0点あげてもいいが、そうでないなら1.0点くらいのカードだと思う。殴るデッキで赤マナも潤沢なら、相手はさぞかし頭を悩ませることになるだろう。破壊不能になった奴は対処に困るし、ブロッククリーチャーに射撃できる状況じゃ、相当やりづらい戦闘になるはずさ。
《近野の司祭/Nearheath Chaplain》
リミテッド3.5点
圧倒的アドの塊で4.0点をつけてもいいくらい。3/1絆魂は無視できるものではないので、戦闘で即相討ちを取って1:1交換と3点のライフゲイン、その後1/1飛行が2体ついてくるんだ。たっぷりカード2枚分以上のアド生物な上、注意事項があるわけでもなく、普通に出せばいいだけ。素晴らしい。見たらまず取っちゃうね。
《忘られじ/Not Forgotten》
リミテッド1.0点
《回収/Reclaim》の微妙さを考えると、1/1飛行が付いてもイマイチ食指が動かない。相手の昂揚状態を解除できるとはいえソーサリーだし、土地か何かを置いて相手のドローを邪魔してみる?どれもパッとしない。ああ、古語の助動詞を勉強するにはいいんじゃないかな。
《月皇の司令官、オドリック/Odric, Lunarch Marshal》
リミテッド3.5点
フレイバー:B+ ジョージ・クルーニー的な格好良さ。異界月でオドリックと十一人の仲間的なのが出てきたらA+をあげよう。
噛み合った場合の強さは一級で、お供に恵まれなくても4マナ3/3だから全く心配不要。飛行クリーチャーが1体いれば自軍全てに回避能力がつくし、絆魂があればまずダメージレースに負けることはなくなる。加えて出した直後の戦闘から働く上、能力のためにデッキを歪める必要すらない。オドリックを取ったら、嬉しい能力持ちなクリーチャーを優先するだろうけど、大幅にピックを変えなくても十分強いだろう。
《武器庫の開放/Open the Armory》
リミテッド0.5点
2マナ払ってまで枚数を水増ししたいという装備はパッと見なさそう。可能性があるとすれば《処刑者の板金鎧/Slayer’s Plate》だけどちょっと重い。《月銀の拘束/Bound by Moonsilver》を持ってくるのは悪くないけど、わざわざこれをデッキに入れるほどでもない気がする。開放するのはやめておこう。
《偏執的な教区刃/Paranoid Parish-Blade》
リミテッド2.0点
ムーアランドの流れ者と比較すると、昂揚しているときの性能では大きく上回るものの、未達成状態では流れ者に遠く及ばない。比較してみると面白い。人間シナジーがあるか、さもなくば昂揚がそれなりに狙えるデッキで使いたい。そうでなければ遠慮するかな。でもまあ、頭数確保に入れたって悪いことはない。
《敬虔な福音者/Pious Evangel》//《むら気な信奉者/Wayward Disciple》
リミテッド3.5点
3マナ2/2に、クリーチャーが場に出たときライフを得る能力がついた。表面だけで十分採用できるのに、更におまけがくっついてるんだから凄い。戦闘になりそうなら、2/4に超強力な能力を備えた裏面に変身しよう。後続を展開するなら、ライフゲインし終えるまで変身は待ってもいい。表を使い倒してから、裏の能力を存分に堪能しよう。
《刺し込む光/Puncturing Light》
リミテッド3.0点
ゲートウォッチの誓いで、使ってみて一番ガッカリしたのは《焼尽の光/Searing Light》かもしれない。でも《刺し込む光/Puncturing Light》なら、既に使ったことのあるカードだからね。焼尽の光より大分強かったのを覚えてるよ。除去対象はそれなりに多そうだし、問答無用で1枚は採用してしまっていいだろう(複数枚あっても、対象が広がるわけじゃないので微妙だが)。環境的にちょっと困りそうな点として、除去を構えてターン終了しようとすると、狼男に変身されてしまうかもしれない。まあ刺し込む光に関しては、他の呪文を唱えつつ構えられるくらい軽いのがありがたいね。
《空翔る月銀の魂刈り/Reaper of Flight Moonsilver》
リミテッド3.0点
《堕天使/Fallen Angel》はそんなに思い入れのあるカードじゃないけれど、カッコイイカードだったのは間違いない。こいつは先輩をリスペクトしたのかサイズは3/3で、空腹で昂揚してくると元祖堕天使さながらに変貌する。昂揚してなくても5マナ3/3飛行は十分な性能だから、点数は素の状態を基準につけた。白ければどんなデッキでも入るよ。
《銀の一撃/Silverstrike》
リミテッド2.0点
攻撃クリーチャーを除去りつつライフゲインが付いてくるとは、いやぁ仲良くしたいカードだね。4マナも納得。前のめりなデッキには不要だから、点数はデッキを選ぶ分差し引いてある。お間違いなく。
《霊体の羊飼い/Spectral Shepherd》
リミテッド3.0点
何はなくとも基本性能だけで《風のドレイク/Wind Drake》だから及第点だし、青マナが捻出できるなら相当厄介だ。色を青白に絞ったら、意識して取ってみたいね。スピリットなら何でも対象に取れるから、除去避けするなり、マナにものを言わせて出したりひっこめたりしてみよう。疑似警戒なりブロック逃げなりお気に召すままだ。
《厳格な巡邏官/Stern Constable》
リミテッド1.0点
マッドネスに全力投球するのでない限り、お勧めしない。昂揚の達成手段に見えるなら、それは幻覚だ。何かコンボでもない限り、毎ターン手札1枚とか理不尽なコストを支払えるはずがない。
《腕っぷし/Strength of Arms》
リミテッド1.5点
コンバットトリックが欲しいなら、1マナ+2/+2だしそんな悪いものでもない。重たいスペルには名前負け、腕力負けしそうだけどね。装備品が2枚程度入ったデッキならぐっと価値が高まるので積極的に採用できるカードになるよ。
《今夜を生き延びる/Survive the Night》
リミテッド1.5点
《抗戦/Make a Stand》の後釜としては、まあこんなもんだろうという感想。複数のクリーチャーを戦闘に参加させる機会はあまりないし、手がかりが手に入るのは嬉しいところ。コンバットトリックやマナの使い道はたくさんあるみたいだから、早めに確保したいとは別段思わないけどね。
《執念/Tenacity》
リミテッド2.5点
春の強化呪文祭りが続いてるけど、こいつは範囲や効果が凄まじくて大惨事を引き起こせそうなので期待している。絆魂でダメージレースが崩壊するし、急にクリーチャーをアンタップさせて、思いもよらぬブロックを仕掛けることも可能だ。完全に強みを引き出すにはクリーチャー多めの構成でないといけないが、条件としてはそんな達成の難しいものではないよね。
《サリアの副官/Thalia’s Lieutenant》
リミテッド3.5点
白はカードなのか疑わしい厳格な巡邏官を除いてもコモンに5種類、アンコモンに2種類の人間がいるから、高く評価してやって間違いないと思う。カウンターを2つ乗せられたら上出来だし、大量にカウンターをばら撒くのも夢じゃないだろう。終盤引いたらとんでもない全体強化、序盤に出れば自分自身が武闘派として暴れられる。お互いを補う2つの能力の組み合わせが1枚に詰め込まれている、素晴らしいカードだ。
《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
リミテッド2.5点
こういうアドアドしいクリーチャーが強い、優しい世界に住みたい。手がかり関連で毎回口を酸っぱくして言ってるけど、手がかりは集めれば強いというわけじゃないから、1枚目以降の検査官はぐっと価値が落ちる。それでもまあ、人間シナジーにもなるし、カードアドバンテージも稼げて軽いから、じっくりねっとり検査してやろう。
《倒し霊/Topplegeist》
リミテッド1.0もしくは3.0点
普通のデッキじゃ、こいつにデッキの枠を割く価値はない。でも安定して昂揚を狙えるデッキでは超強力だろう。それにスピリットシナジーもあるから、それも評価材料になるだろう。超前のめりなデッキでも使えなくはないと思うけど、大体はターボ昂揚デッキとでもいうようなデッキで使うべきカードだと思うよ。昂揚デッキ、作れるといいな。
《物騒な群衆/Unruly Mob》
リミテッド2.5点
前回のイニストラードから続投だね。前はクリーチャー多め、中でもトークン生成デッキで使ったもんだ。物騒でいてもらう目安としては、14体以上のクリーチャーを入れたい。死人が出ないと騒がれないからね。
《刹那の器/Vessel of Ephemera》
リミテッド2.5点
クッソ重そうに見せかけて、1/1飛行2体を出すのは4マナ相当の価値がある。こいつは2+3で計5マナかかるけど、分割払いできる利便性を考えれば納得だ。昂揚達成にも貢献するから、大切な存在としてプレイヤーを支えるんじゃないかな。
白のコモントップ5
1.《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar》
2.《天使の粛清/Angelic Purge》
3.《刺し込む光/Puncturing Light》
4.《薬剤師の霊/Apothecary Geist》
5.《刹那の器/Vessel of Ephemera》
見る限り、はっきり最強と断言できるコモンはなさそう。《不屈の聖戦士/Dauntless Cathar》がマナ効率とカードアドバンテージ的に優秀なので、当座の1位だろう。《天使の粛清/Angelic Purge》はちょっと怪しい。何枚も投入できるカードじゃないんだが、1枚は欲しい。3~5位は似たり寄ったりで、デッキによって優先順位は変わるだろうし、トップ5圏外の《眠れぬ者の使者/Emissary of the Sleepless》が入ってくることだって考えられる。
白はスピリット、人間、昂揚と色々な方向に舵を切ることができそうで、3つの重なり合う領域もあるのが面白そう。色々なデッキが妄想できるけど、現実的なのはどれか、夢で終わるのはどれか、はたまたどれだけ手がかりを集められるか……。
LSV
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