【翻訳】宝船の巡航、時を越えた探索、出産の殻がモダンで禁止に。さてどうなる?
2015年1月20日 翻訳 コメント (2)◆ 宝船の巡航、時を越えた探索、出産の殻がモダンで禁止に。さてどうなる?
Cruise, Dig, & Pod Banned in Modern - What Now?
By William "Huey" Jensen 2015年1月19日
http://www.channelfireball.com/articles/cruise-dig-pod-banned-in-modern-what-now/
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは2015年1月19日、新たなDCI禁止制限カードリスト告知を発表した。これによって、3週間後、ワシントンD.C.で予定されてるプロツアー「運命再編」のフォーマットであるモダンには波乱が予想されるだろう。今回の判決で、3枚のカードが禁止され、1枚が解禁された。
(英語版) http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/banned-and-restricted-announcement-2015-01-19
(日本語版) http://mtg-jp.com/publicity/0012018/
新規禁止カード
《宝船の巡航/Treasure Cruise》
《宝船の巡航/Treasure Cruise》がタルキール覇王譚で刷られて以来、モダン環境はすっかり様変わりしてしまった。宝船の巡航の力によって、青赤デルバーは一番人気のデッキにまで押し上げられた。モダンにはたくさんの軽いキャントリップ呪文がある。《血清の幻視/Serum Visions》、《手練/Sleight of Hand》、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》、そして中でも、墓地にカードを2枚も落とす《思考掃き/Thought Scour》だ。モダンで多用されているフェッチランドもまた、巡航の良き相方となっていた。
巡航は青赤デルバー以外にも、ストーム、《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》、《欠片の双子/Splinter Twin》デッキなどのコンボデッキで使用されていた。ちょうど私(William "Huey" Jensen)やオーウェン(Owen Turtenwald)がグランプリオマハ15で使った双子も、やはり宝船の巡航入りだった。
宝船の巡航は何故モダンで禁止されたのか?どのように環境は変わるか?
《思考囲い/Thoughtseize》や《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》のような、1:1交換の手札破壊を多用する、ジャンドやジャンクといった消耗戦を仕掛けるデッキは、回りが宝船の巡航だらけの間苦汁を舐めさせられていた。
宝船が禁止された今、ジャンド・ジャンクは復権が可能だろう。かつて、ジャンドがモダンの覇者だった時代もあったくらいだが、最強の座に返り咲くことは可能だろうか?これらのデッキが新環境でどれだけやれるかはまだ分からないが、可能性はあるだろう。
コンボデッキも、ドローを宝船の巡航に頼っていた感があった。《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》デッキなど、隆盛そのものの次に重要なカードは宝船の巡航だったのだ。コンボデッキは宝船を失った反面、宝船の禁止によって青いデッキの数は減ることが予想されるので、妨害に使われる打消し呪文の数が減ることにもつながるだろう。
青いデッキの数こそ減ることが予想されるものの、伝統的な青白赤コントロールのようなデッキの復活も考えられる。コントロールからすると、対戦相手が《宝船の巡航/Treasure Cruise》によって莫大なアドバンテージを稼いでくるのに頭を悩ます必要が無くなった。コントロールが復権することで、コンボデッキは勢力拡大しようにも、頭を押さえつけられたような状態が続くかもしれない。
《時を越えた探索/Dig Through Time》
《宝船の巡航/Treasure Cruise》ほどぶっ壊れでこそなかったかもしれないが、宝船の巡航が禁止されても、皆代わりに《時を越えた探索/Dig Through Time》を使うだけなのではと、プレイヤーは皆懸念していたことだと思う。時を越えた探索は青青のダブルシンボルを要求するので、宝船の巡航ほどどんなデッキにも放り込めるわけではなかった。
宝船の巡航を失ったコンボデッキが《時を越えた探索/Dig Through Time》に飛びつくのは、禁止されなければほぼ間違いなかったろう。宝船の巡航が使えた間、時を越えた探索を使うデッキは、《欠片の双子/Splinter Twin》、《風景の変容/Scapeshift》、《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》、それに青白赤コントロールといったほんの一握りに過ぎなかった。
欠片の双子と青白赤コントロールは、長いことモダンのトップメタの一角を張っていた。《時を越えた探索/Dig Through Time》が禁止されたからといって、それが理由で急に転落するようなことはないだろう。ジェスカイの隆盛コンボデッキはかなり強かったが、一方通行の対話拒否的な面が強かったし、あまり相手にしたい手合いでもなかったので、弱体化されて残念に思う人はあまりいないと思う。
《出産の殻/Birthing Pod》
《出産の殻/Birthing Pod》が消えてくれて本当に良かった。殻は皆、禁止すべきという人もいれば、禁止なんてとんでもないという人もいて、うやむやでどっちつかずの態度を取りつづけてきた人が多かったと思う。殻は長いこと、波はあっても成果を出し続けてきた。それに率直に言って、出産の殻というカードは強すぎた。最近は《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》を使ったキキジキポッドや、《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》を使ったメリーラポッドといったコンボ中心のデッキから、《包囲サイ/Siege Rhino》を何枚も採用するようなミッドレンジ的なデッキに推移してきていた。
《出産の殻/Birthing Pod》デッキの悪いところは、殻を使わない他のクリーチャーデッキを駆逐してしまうところだ。たとえばZooを使っていて、毎ゲーム安定して《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》2枚に《包囲サイ/Siege Rhino》3枚を繰り出してくるようなデッキに勝つのは容易でないし、また相手にしていて楽しいわけでもない。
また厄介なところとして、殻そのものが非常に対処しづらいということもあった。一度殻が着地してしまうと、大体そのターン中に1回は起動されてしまうので、即除去できたとしても既にアドバンテージを稼がれてしまうのだ。出産の殻が禁止されたことで、クリーチャー中心のアグロやミッドレンジ系のデッキが浮上してくると思う。
禁止解除
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》が解禁されたのは結構驚きだった。こいつの禁止解除を望む声が多かったとは思わなかったので。レガシーのドレッジのような壊れたデッキができたら驚きだが、墓トロールが解禁されても、レガシーどころか、在りし日のエクステンデッドのドレッジにすら到底及ばないと思う。とはいえ、発掘と探査の好相性を活かして、面白いデッキは出てくるだろう。探査で最も危険な2枚は禁止されたから安心だ。墓トロールが禁止されたとしても、それほど環境が激変するとは思わない。
プロツアー「運命再編」まで、残すところあと3週間。禁止後のモダンに関して、かなり頭を絞らないとならなさそうだ。
プロツアーは本当に楽しみだよ。中でも、各チームが調整の結果どんなデッキを選択して、その中で勝ち残るのはどのデッキか。禁止で「改善された」モダン環境がどうなるのか本当に楽しみだ。
他フォーマットの変更
レガシー 《宝船の巡航/Treasure Cruise》禁止、《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》禁止解除
ヴィンテージ 《宝船の巡航/Treasure Cruise》制限、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》禁止解除
Cruise, Dig, & Pod Banned in Modern - What Now?
By William "Huey" Jensen 2015年1月19日
http://www.channelfireball.com/articles/cruise-dig-pod-banned-in-modern-what-now/
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは2015年1月19日、新たなDCI禁止制限カードリスト告知を発表した。これによって、3週間後、ワシントンD.C.で予定されてるプロツアー「運命再編」のフォーマットであるモダンには波乱が予想されるだろう。今回の判決で、3枚のカードが禁止され、1枚が解禁された。
(英語版) http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/banned-and-restricted-announcement-2015-01-19
(日本語版) http://mtg-jp.com/publicity/0012018/
新規禁止カード
《宝船の巡航/Treasure Cruise》
《宝船の巡航/Treasure Cruise》がタルキール覇王譚で刷られて以来、モダン環境はすっかり様変わりしてしまった。宝船の巡航の力によって、青赤デルバーは一番人気のデッキにまで押し上げられた。モダンにはたくさんの軽いキャントリップ呪文がある。《血清の幻視/Serum Visions》、《手練/Sleight of Hand》、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》、そして中でも、墓地にカードを2枚も落とす《思考掃き/Thought Scour》だ。モダンで多用されているフェッチランドもまた、巡航の良き相方となっていた。
巡航は青赤デルバー以外にも、ストーム、《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》、《欠片の双子/Splinter Twin》デッキなどのコンボデッキで使用されていた。ちょうど私(William "Huey" Jensen)やオーウェン(Owen Turtenwald)がグランプリオマハ15で使った双子も、やはり宝船の巡航入りだった。
宝船の巡航は何故モダンで禁止されたのか?どのように環境は変わるか?
《思考囲い/Thoughtseize》や《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》のような、1:1交換の手札破壊を多用する、ジャンドやジャンクといった消耗戦を仕掛けるデッキは、回りが宝船の巡航だらけの間苦汁を舐めさせられていた。
宝船が禁止された今、ジャンド・ジャンクは復権が可能だろう。かつて、ジャンドがモダンの覇者だった時代もあったくらいだが、最強の座に返り咲くことは可能だろうか?これらのデッキが新環境でどれだけやれるかはまだ分からないが、可能性はあるだろう。
コンボデッキも、ドローを宝船の巡航に頼っていた感があった。《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》デッキなど、隆盛そのものの次に重要なカードは宝船の巡航だったのだ。コンボデッキは宝船を失った反面、宝船の禁止によって青いデッキの数は減ることが予想されるので、妨害に使われる打消し呪文の数が減ることにもつながるだろう。
青いデッキの数こそ減ることが予想されるものの、伝統的な青白赤コントロールのようなデッキの復活も考えられる。コントロールからすると、対戦相手が《宝船の巡航/Treasure Cruise》によって莫大なアドバンテージを稼いでくるのに頭を悩ます必要が無くなった。コントロールが復権することで、コンボデッキは勢力拡大しようにも、頭を押さえつけられたような状態が続くかもしれない。
《時を越えた探索/Dig Through Time》
《宝船の巡航/Treasure Cruise》ほどぶっ壊れでこそなかったかもしれないが、宝船の巡航が禁止されても、皆代わりに《時を越えた探索/Dig Through Time》を使うだけなのではと、プレイヤーは皆懸念していたことだと思う。時を越えた探索は青青のダブルシンボルを要求するので、宝船の巡航ほどどんなデッキにも放り込めるわけではなかった。
宝船の巡航を失ったコンボデッキが《時を越えた探索/Dig Through Time》に飛びつくのは、禁止されなければほぼ間違いなかったろう。宝船の巡航が使えた間、時を越えた探索を使うデッキは、《欠片の双子/Splinter Twin》、《風景の変容/Scapeshift》、《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》、それに青白赤コントロールといったほんの一握りに過ぎなかった。
欠片の双子と青白赤コントロールは、長いことモダンのトップメタの一角を張っていた。《時を越えた探索/Dig Through Time》が禁止されたからといって、それが理由で急に転落するようなことはないだろう。ジェスカイの隆盛コンボデッキはかなり強かったが、一方通行の対話拒否的な面が強かったし、あまり相手にしたい手合いでもなかったので、弱体化されて残念に思う人はあまりいないと思う。
《出産の殻/Birthing Pod》
《出産の殻/Birthing Pod》が消えてくれて本当に良かった。殻は皆、禁止すべきという人もいれば、禁止なんてとんでもないという人もいて、うやむやでどっちつかずの態度を取りつづけてきた人が多かったと思う。殻は長いこと、波はあっても成果を出し続けてきた。それに率直に言って、出産の殻というカードは強すぎた。最近は《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》を使ったキキジキポッドや、《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》を使ったメリーラポッドといったコンボ中心のデッキから、《包囲サイ/Siege Rhino》を何枚も採用するようなミッドレンジ的なデッキに推移してきていた。
《出産の殻/Birthing Pod》デッキの悪いところは、殻を使わない他のクリーチャーデッキを駆逐してしまうところだ。たとえばZooを使っていて、毎ゲーム安定して《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》2枚に《包囲サイ/Siege Rhino》3枚を繰り出してくるようなデッキに勝つのは容易でないし、また相手にしていて楽しいわけでもない。
また厄介なところとして、殻そのものが非常に対処しづらいということもあった。一度殻が着地してしまうと、大体そのターン中に1回は起動されてしまうので、即除去できたとしても既にアドバンテージを稼がれてしまうのだ。出産の殻が禁止されたことで、クリーチャー中心のアグロやミッドレンジ系のデッキが浮上してくると思う。
禁止解除
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》が解禁されたのは結構驚きだった。こいつの禁止解除を望む声が多かったとは思わなかったので。レガシーのドレッジのような壊れたデッキができたら驚きだが、墓トロールが解禁されても、レガシーどころか、在りし日のエクステンデッドのドレッジにすら到底及ばないと思う。とはいえ、発掘と探査の好相性を活かして、面白いデッキは出てくるだろう。探査で最も危険な2枚は禁止されたから安心だ。墓トロールが禁止されたとしても、それほど環境が激変するとは思わない。
プロツアー「運命再編」まで、残すところあと3週間。禁止後のモダンに関して、かなり頭を絞らないとならなさそうだ。
プロツアーは本当に楽しみだよ。中でも、各チームが調整の結果どんなデッキを選択して、その中で勝ち残るのはどのデッキか。禁止で「改善された」モダン環境がどうなるのか本当に楽しみだ。
他フォーマットの変更
レガシー 《宝船の巡航/Treasure Cruise》禁止、《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》禁止解除
ヴィンテージ 《宝船の巡航/Treasure Cruise》制限、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》禁止解除
コメント
と、たまにはageとこう
ナベ氏がストレートに好意的なコメントを……?
びっくりしたが嬉しい!ありがとう!!