◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使ったオルゾフミッドレンジ
#TeamCFBP Deck Tech – Orzhov Midrange
By Paul Rietzl 2014年8月3日
http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-orzhov-midrange/
俺の考えだけれど、《群れネズミ/Pack Rat》と《思考囲い/Thoughtseize》を使わないっていうのは、運搬にうってつけの滑車があるのに、ピアノを敢えて手で抱えて階段を登るようなものだと思う。ダイエットの運動になるだろうし、ある程度賞賛も受けるかもしれないけど、多分ピアノを落っことして壊してしまうのがオチだろう。こちらがポートランドのプロツアー・基本セット2015で使ったリストだ(メインデッキは完璧。サイドボードは1,2枚変えるかもしれない)。
はっきりさせておきたい事だが、これは黒単信心に白をタッチしたデッキではない。これは全く別物のアーキタイプ、オルゾフミッドレンジというデッキだ。パトリック・チャピン(Patrick Chapin)と俺が去年の秋ダブリンで使って大成功した、あのデッキを基にした。今回のデッキはあれから大幅に進化して、黒単の定番カードである《群れネズミ/Pack Rat》や《冒涜の悪魔/Desecration Demon》が加わった。デッキのコンセプトとしては、まずこちらのリソースを使って初動をいなして、そこから5マナや6マナの強烈なカードで相手を沈めるんだ(もしくは《群れネズミ/Pack Rat》ですり潰す)。特に、《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》は、黒単やその亜種、白緑ビートダウン、それに《拘留の宝球/Detention Sphere》を使うデッキが多いと読んだメタゲーム的にとてもよく合致していると思った。それに《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》は、スタンダードであまり見ないのが犯罪的なくらい強いカードだ。
除去について少し話そうか。メインデッキは決まっていて、それと別にサイドボードがあるという考え方がある。メインの除去はこれこれで、サイドには入らないとか、まあそんな考えだ。ミッドレンジデッキにとって、その考えは必ずしも当てはまらない。ミッドレンジの除去は、「丸く」全てに対処できるよう汎用性を最大まで高めること。まず当たる相手を想定して、それから全てに有効になるよう枚数を調整していくんだ。だから《肉貪り/Devour Flesh》のような除去は、ほとんどのマッチアップで最高の除去とはならないものの、非常に重要な役割がある。《夜帷の死霊/Nightveil Specter》、《群れネズミ/Pack Rat》、《森の女人像/Sylvan Caryatid》全てに対応できるからね。それにマナカーブでは低マナを支えるし、バーン相手には《冒涜の悪魔/Desecration Demon》を生贄に捧げるようなこともやってのける。《胆汁病/Bile Blight》は単純にカードとして強い。《群れネズミ/Pack Rat》に効果的だし、ビートダウンに良し、変わり谷に撃って良し、青単信心に良し。《究極の価格/Ultimate Price》は除去に多様性を持たせるためで、《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》のような面々を処理してくれる。これら全ての除去が《群れネズミ/Pack Rat》への対処になっているんだ。偶然じゃないぜ。何せ俺は《群れネズミ/Pack Rat》はスタンダードで2番目に強いカードだと思ってるからな。
そう、押しも押されぬスタンダード最強カードは《思考囲い/Thoughtseize》だ。プロみたいな腕のあるプレイヤーの手にかかれば、《思考囲い/Thoughtseize》は恐ろしい武器になる。まあ思考囲いの強さについては言い尽くされてるだろうから、ここで繰り返そうとは思わないが、特定のカードが生み出すシナジーに依存するデッキは、思考囲いを撃たれると非常に苦しい。加えて、多彩な除去と厄介な脅威が織り交ぜられたデッキで(今回のオルゾフミッドレンジがまさにそれだが)使う思考囲いは、相手の手札でこちらのゲームプランに唯一邪魔になりそうなカードを引っこ抜いてくれることが多々ある。
大切なことだが、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》と《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》は、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》のいないこのデッキだと、黒単信心で使うよりも少し弱い。生命散らしのゾンビはただただ強いのでどのみち入れたと思うが、冒涜の悪魔は何か別の除去とか妨害とか、あるいは違うクリーチャーになることもあり得ると思った。
黒単信心はお客様。勿論、是非当たりたいと思っていたね。こちらには核兵器みたいに強力な《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》がいるし、《地下世界の人脈/Underworld Connections》や《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》を使った面でも、《神討ち/Deicide》に《払拭の光/Banishing Light》を持ってるこちらが戦いを制することができる。それに、コントロール全般にも有利なはずだ。1ゲーム目は腐ってしまう除去を引きすぎると苦しいだろうが、サイドボードのドローと手札破壊は非常に効果的。ミッドレンジ系にも有利なはず。《思考囲い/Thoughtseize》と《群れネズミ/Pack Rat》が基本となるものの、ミッドレンジには《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》が輝く。何せエルズペスみたいなプレインズウォーカーは、スタンダードで他に存在しないからね。
スライ型の赤単と青単信心が一番苦手な相手だ。赤単はこちらの除去をかいくぐって速度で圧倒してくるし、青単は《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》、《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》、《波使い/Master of Waves》に《夜帷の死霊/Nightveil Specter》と、非常に危険な奴らが潜んでいる。とはいえどちらも絶望的ではない。まず中盤まで生き延びてから、赤単相手には恒久的なライフ回復手段、青単相手にはエルズペスか冒涜の悪魔が通って対処されなければ勝てる。
このデッキが素晴らしいのは、構成するカード一枚一枚が単体でスタンダード最強クラスなので、ある状況で本領を発揮できないカードがあったとしても、十分な性能を発揮できるというところだ。
総合してやはり、腕のあるプレイヤーにとって、オルゾフはかなりいいデッキといえる。占術、群れネズミ、生命散らしのゾンビ、地下世界の人脈のもたらすドローに、多様であり効果的な除去パッケージと、プレイング要素や判断を問われる場面のかなり多いデッキだ。サイドボード後は、どんな釘でも撃ちつけるハンマーになってのける。上手いプレイヤーが常に情報をほぼ完ぺきに把握できれば、相手のあらゆる動きを潰しながら速やかに勝つ流れを作りだせるだろう。
ここまで読んでくれてありがとう。
ポール・リーツェル
#TeamCFBP Deck Tech – Orzhov Midrange
By Paul Rietzl 2014年8月3日
http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-orzhov-midrange/
俺の考えだけれど、《群れネズミ/Pack Rat》と《思考囲い/Thoughtseize》を使わないっていうのは、運搬にうってつけの滑車があるのに、ピアノを敢えて手で抱えて階段を登るようなものだと思う。ダイエットの運動になるだろうし、ある程度賞賛も受けるかもしれないけど、多分ピアノを落っことして壊してしまうのがオチだろう。こちらがポートランドのプロツアー・基本セット2015で使ったリストだ(メインデッキは完璧。サイドボードは1,2枚変えるかもしれない)。
土地
8:《沼/Swamp》
1:《平地/Plains》
1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4:《神無き祭殿/Godless Shrine》
4:《静寂の神殿/Temple of Silence》
4:《変わり谷/Mutavault》
4:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
クリーチャー
4:《群れネズミ/Pack Rat》
3:《冒涜の悪魔/Desecration Demon》
3:《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
1:《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
3:《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
呪文
4:《思考囲い/Thoughtseize》
3:《肉貪り/Devour Flesh》
3:《胆汁病/Bile Blight》
1:《究極の価格/Ultimate Price》
3:《地下世界の人脈/Underworld Connections》
2:《払拭の光/Banishing Light》
2:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
2:《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
サイドボード
3:《強迫/Duress》
3:《破滅の刃/Doom Blade》
2:《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1:《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
1:《神討ち/Deicide》
1:《払拭の光/Banishing Light》
1:《罪の収集者/Sin Collector》
1:《今わの際/Last Breath》
1:《地下世界の人脈/Underworld Connections》
1:《ファリカの療法/Pharika’s Cure》
はっきりさせておきたい事だが、これは黒単信心に白をタッチしたデッキではない。これは全く別物のアーキタイプ、オルゾフミッドレンジというデッキだ。パトリック・チャピン(Patrick Chapin)と俺が去年の秋ダブリンで使って大成功した、あのデッキを基にした。今回のデッキはあれから大幅に進化して、黒単の定番カードである《群れネズミ/Pack Rat》や《冒涜の悪魔/Desecration Demon》が加わった。デッキのコンセプトとしては、まずこちらのリソースを使って初動をいなして、そこから5マナや6マナの強烈なカードで相手を沈めるんだ(もしくは《群れネズミ/Pack Rat》ですり潰す)。特に、《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》は、黒単やその亜種、白緑ビートダウン、それに《拘留の宝球/Detention Sphere》を使うデッキが多いと読んだメタゲーム的にとてもよく合致していると思った。それに《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》は、スタンダードであまり見ないのが犯罪的なくらい強いカードだ。
《肉貪り/Devour Flesh》 《胆汁病/Bile Blight》 《究極の価格/Ultimate Price》
除去について少し話そうか。メインデッキは決まっていて、それと別にサイドボードがあるという考え方がある。メインの除去はこれこれで、サイドには入らないとか、まあそんな考えだ。ミッドレンジデッキにとって、その考えは必ずしも当てはまらない。ミッドレンジの除去は、「丸く」全てに対処できるよう汎用性を最大まで高めること。まず当たる相手を想定して、それから全てに有効になるよう枚数を調整していくんだ。だから《肉貪り/Devour Flesh》のような除去は、ほとんどのマッチアップで最高の除去とはならないものの、非常に重要な役割がある。《夜帷の死霊/Nightveil Specter》、《群れネズミ/Pack Rat》、《森の女人像/Sylvan Caryatid》全てに対応できるからね。それにマナカーブでは低マナを支えるし、バーン相手には《冒涜の悪魔/Desecration Demon》を生贄に捧げるようなこともやってのける。《胆汁病/Bile Blight》は単純にカードとして強い。《群れネズミ/Pack Rat》に効果的だし、ビートダウンに良し、変わり谷に撃って良し、青単信心に良し。《究極の価格/Ultimate Price》は除去に多様性を持たせるためで、《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》のような面々を処理してくれる。これら全ての除去が《群れネズミ/Pack Rat》への対処になっているんだ。偶然じゃないぜ。何せ俺は《群れネズミ/Pack Rat》はスタンダードで2番目に強いカードだと思ってるからな。
《思考囲い/Thoughtseize》
そう、押しも押されぬスタンダード最強カードは《思考囲い/Thoughtseize》だ。プロみたいな腕のあるプレイヤーの手にかかれば、《思考囲い/Thoughtseize》は恐ろしい武器になる。まあ思考囲いの強さについては言い尽くされてるだろうから、ここで繰り返そうとは思わないが、特定のカードが生み出すシナジーに依存するデッキは、思考囲いを撃たれると非常に苦しい。加えて、多彩な除去と厄介な脅威が織り交ぜられたデッキで(今回のオルゾフミッドレンジがまさにそれだが)使う思考囲いは、相手の手札でこちらのゲームプランに唯一邪魔になりそうなカードを引っこ抜いてくれることが多々ある。
《冒涜の悪魔/Desecration Demon》 《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
大切なことだが、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》と《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》は、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》のいないこのデッキだと、黒単信心で使うよりも少し弱い。生命散らしのゾンビはただただ強いのでどのみち入れたと思うが、冒涜の悪魔は何か別の除去とか妨害とか、あるいは違うクリーチャーになることもあり得ると思った。
黒単信心はお客様。勿論、是非当たりたいと思っていたね。こちらには核兵器みたいに強力な《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》がいるし、《地下世界の人脈/Underworld Connections》や《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》を使った面でも、《神討ち/Deicide》に《払拭の光/Banishing Light》を持ってるこちらが戦いを制することができる。それに、コントロール全般にも有利なはずだ。1ゲーム目は腐ってしまう除去を引きすぎると苦しいだろうが、サイドボードのドローと手札破壊は非常に効果的。ミッドレンジ系にも有利なはず。《思考囲い/Thoughtseize》と《群れネズミ/Pack Rat》が基本となるものの、ミッドレンジには《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》が輝く。何せエルズペスみたいなプレインズウォーカーは、スタンダードで他に存在しないからね。
スライ型の赤単と青単信心が一番苦手な相手だ。赤単はこちらの除去をかいくぐって速度で圧倒してくるし、青単は《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》、《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》、《波使い/Master of Waves》に《夜帷の死霊/Nightveil Specter》と、非常に危険な奴らが潜んでいる。とはいえどちらも絶望的ではない。まず中盤まで生き延びてから、赤単相手には恒久的なライフ回復手段、青単相手にはエルズペスか冒涜の悪魔が通って対処されなければ勝てる。
このデッキが素晴らしいのは、構成するカード一枚一枚が単体でスタンダード最強クラスなので、ある状況で本領を発揮できないカードがあったとしても、十分な性能を発揮できるというところだ。
総合してやはり、腕のあるプレイヤーにとって、オルゾフはかなりいいデッキといえる。占術、群れネズミ、生命散らしのゾンビ、地下世界の人脈のもたらすドローに、多様であり効果的な除去パッケージと、プレイング要素や判断を問われる場面のかなり多いデッキだ。サイドボード後は、どんな釘でも撃ちつけるハンマーになってのける。上手いプレイヤーが常に情報をほぼ完ぺきに把握できれば、相手のあらゆる動きを潰しながら速やかに勝つ流れを作りだせるだろう。
ここまで読んでくれてありがとう。
ポール・リーツェル
コメント
ありがとうございます!
> 通りすがりさん
ご指摘ありがとうございました!
何でこんなところで間違ったんだろう……。