カードが「強い」って原文ではどうなってるの?
2013年4月8日 日常 コメント (16)◆ 原文を見てみると実は……!
そろそろまたスポイラーの季節。自分にとってはスポイラーの季節イコール翻訳の季節でもある。
前回のギルド門侵犯の翻訳が(自分の中で)ようやく終わりになったというのに、中々せわしない。
さて、翻訳してる最中はあんな記事やこんな記事をこれが終わったら書こうなんて夢想するんですが、いざ終わってみると解放感ばかりでロクなものを書かない始末。
でもたまには訳についてメタに語ってみます。
今日のテーマは「強い」について。
訳で「強い」としていても、裏ではばらばらな単語だったりするんです。
sweet
ご存知「甘い」「甘美」という意味の形容詞。スイーツ()。
口語でもよく使うが、マジックでもしょっちゅう耳にする単語。
必ずしも100%「強い」という訳語が対応するわけではないのですが、LSVが最も好む形容詞の一つなので最初に触れないわけにはいくまい。
日本人が真っ先に思う強さとは、少しずれがありそう。どちらかと言うと、「重いけど強い」「爆アド!」なんてカードに使うことが多い印象である。
勿論、単にワッ、嬉しい!なんて感嘆のときにも使う単語なので、マイナスの印象が強いわけではない。それでもどこか、勝負強い確実さより人間味のある「強い」だと思う。
solid
上のsweetとは対極の強さ。こちらの方が日本語の「強い」とは多分意味が近い。
sweetがカジュアルな強さなら、solidはトーナメント志向の強さだろうか。
2マナパワー3のクリーチャーは、リミテッドでsweetではないがsolidである。
スパイク的な鋭さを秘めたカードに使うとしっくり来る感じ。
勿論高マナのクリーチャーに使っても構わないですが、タイタンシリーズなど大ぶりなところよりやはり、低マナの優良クリーチャーや呪文に使われることが多い気がする。
good
がははグッドだー!
英語を聞きかじった人ならどんな人でも知っていそう。
でも場面や状況に応じて多種多様な訳語が当たる面白い形容詞。シンプルだからこそ難しい。
そう考えると、日本語の「強い」も色々な意味があるから共通しているのかも。
そんなgoodがカードにつくと「強い」「使える」くらいにしたらいいだろうか。
決して心躍ったりするものじゃないが、手堅く強さを発揮してくれる立役者たちに贈りたい。
great
グレートだぜ…億泰!
goodより意味が強い。文章にすると陳腐な印象が拭えないが、まあ意味は強い。
間投詞みたいに使うことが多いだろうか。
凄い!なんて訳した方がいい時も多い。
exciting
超!エキサイティン!!
エキサイティングと訳せたらどんなに楽なことか。日本語だとしっくりくる一語の訳がない。
「心躍る」「胸躍らせる」とかだろうか。
相応に意味も強い。だがあまり目にする機会も少ない。確かに連発できる意味じゃないしね。
sick
悩まされる単語。結構意味が強い。
面と向かって話していると全く気にならないが、文章になっているとプラスの意味にもマイナスの意味にもなるので注意。
カードについて話してるときは大体良い意味での「強い」だが、「ムカツク奴」のような意味にもなるので難しい。
後はマナカーブに沿って怒涛の展開ができるようなとき、sick curveなんて言ったりする。
outrageous
reasonable
あんまり聞かない形容詞ですが、2つともChannelFireballのライターの口癖。
誰だかわかった人は中々の通だと思う。さてそれぞれ誰の口癖でしょう?
どちらも「強い」からは少し意味が逸脱していますが、連発してるので「強い」の方がぴったりくるでしょう。
*
できるだけ原文の意味をそのまま伝えたい!と思って机に向かう日々ですが、こうしたシンプルなものに限ってみても、伝えるのは難しい。「強い」という訳語を選択した瞬間、掌からはらはらと零れ落ちていく意味たち。
だからこそ工夫のし甲斐もあるんですけどね!
そろそろまたスポイラーの季節。自分にとってはスポイラーの季節イコール翻訳の季節でもある。
前回のギルド門侵犯の翻訳が(自分の中で)ようやく終わりになったというのに、中々せわしない。
さて、翻訳してる最中はあんな記事やこんな記事をこれが終わったら書こうなんて夢想するんですが、いざ終わってみると解放感ばかりでロクなものを書かない始末。
でもたまには訳についてメタに語ってみます。
今日のテーマは「強い」について。
訳で「強い」としていても、裏ではばらばらな単語だったりするんです。
sweet
ご存知「甘い」「甘美」という意味の形容詞。スイーツ()。
口語でもよく使うが、マジックでもしょっちゅう耳にする単語。
必ずしも100%「強い」という訳語が対応するわけではないのですが、LSVが最も好む形容詞の一つなので最初に触れないわけにはいくまい。
日本人が真っ先に思う強さとは、少しずれがありそう。どちらかと言うと、「重いけど強い」「爆アド!」なんてカードに使うことが多い印象である。
勿論、単にワッ、嬉しい!なんて感嘆のときにも使う単語なので、マイナスの印象が強いわけではない。それでもどこか、勝負強い確実さより人間味のある「強い」だと思う。
solid
上のsweetとは対極の強さ。こちらの方が日本語の「強い」とは多分意味が近い。
sweetがカジュアルな強さなら、solidはトーナメント志向の強さだろうか。
2マナパワー3のクリーチャーは、リミテッドでsweetではないがsolidである。
スパイク的な鋭さを秘めたカードに使うとしっくり来る感じ。
勿論高マナのクリーチャーに使っても構わないですが、タイタンシリーズなど大ぶりなところよりやはり、低マナの優良クリーチャーや呪文に使われることが多い気がする。
good
がははグッドだー!
英語を聞きかじった人ならどんな人でも知っていそう。
でも場面や状況に応じて多種多様な訳語が当たる面白い形容詞。シンプルだからこそ難しい。
そう考えると、日本語の「強い」も色々な意味があるから共通しているのかも。
そんなgoodがカードにつくと「強い」「使える」くらいにしたらいいだろうか。
決して心躍ったりするものじゃないが、手堅く強さを発揮してくれる立役者たちに贈りたい。
great
グレートだぜ…億泰!
goodより意味が強い。文章にすると陳腐な印象が拭えないが、まあ意味は強い。
間投詞みたいに使うことが多いだろうか。
凄い!なんて訳した方がいい時も多い。
exciting
超!エキサイティン!!
エキサイティングと訳せたらどんなに楽なことか。日本語だとしっくりくる一語の訳がない。
「心躍る」「胸躍らせる」とかだろうか。
相応に意味も強い。だがあまり目にする機会も少ない。確かに連発できる意味じゃないしね。
sick
悩まされる単語。結構意味が強い。
面と向かって話していると全く気にならないが、文章になっているとプラスの意味にもマイナスの意味にもなるので注意。
カードについて話してるときは大体良い意味での「強い」だが、「ムカツク奴」のような意味にもなるので難しい。
後はマナカーブに沿って怒涛の展開ができるようなとき、sick curveなんて言ったりする。
outrageous
reasonable
あんまり聞かない形容詞ですが、2つともChannelFireballのライターの口癖。
誰だかわかった人は中々の通だと思う。さてそれぞれ誰の口癖でしょう?
どちらも「強い」からは少し意味が逸脱していますが、連発してるので「強い」の方がぴったりくるでしょう。
*
できるだけ原文の意味をそのまま伝えたい!と思って机に向かう日々ですが、こうしたシンプルなものに限ってみても、伝えるのは難しい。「強い」という訳語を選択した瞬間、掌からはらはらと零れ落ちていく意味たち。
だからこそ工夫のし甲斐もあるんですけどね!
コメント
「日本語は語彙の豊富な言語である、1つの事柄を事細かに分類できるたくさんの言葉がある繊細な言語だ」なんてのはここが日本だからよく聞く話なのかもしれませんね。
英語だってこんなに豊富な表現があるのですから、それぞれの言語にもそれぞれの豊かさがあるのでしょう。
アフリカのどこだかの言語は「空の青さ」をあらわす単語が10以上あると聞いた事があります。身近なものに対してはやはり細かく詳しくなるのでしょうね。
それこそカードゲームの「強い」とかw
どうも、嬉しいコメントありがとうございます。
日本語は確かに繊細だと思いますが、他の言語と比べるのは確かに簡単にできることではないですね。
北極圏の人たちにとっては、雪が何十種類も呼び分けられるとか、フランスでは蝶も蛾もパピヨンだとか、有名ですよね。
> らいとさん
いいえ、こっちから言う分にはstrongで通じると思いますよー。
ただ英→日方向に注目すると、あまりstrongという表現は多くない気がします。
Takuさんの記事の工夫が伝わって来ましたし、原文(英語)にも興味が湧きます。
自分で読む時には「これは脳汁モノ!」ってニュアンスに捉えてます。
「reasonable」って「手頃なもの」「使いやすいもの」って
意味で使っていたので、万能タイプのカードを指していると思っていました。
英語と日本語の対応って結構難しいんですね。
Coolは確かに口語ですが、普通に使いますね。
ただ単体のカードでCoolといった場合、必ずしも強さでなく「格好よさ」だったりすることも多いです。
《ゾンビの黙示録/Zombie Apocalypse》や《死せざる邪悪/Undying Evil》あたりが筆頭ですね。トーナメントレベルでは必ずしもなくても、格好いいカードです。
> グリ太郎さん
おお、これは嬉しい反応で幸い!
毎回100%の精度で見られているかはわかりませんが、密かに工夫しているところにコメントを頂けたりすると、とても嬉しいです。
原文もそんなに難しくないので、チラ見してみると雰囲気が味わえること請け合いです。
> 古鳩さん
脳汁モノ、いいですね!
今度どこかで機会があったら採用してみたいです。
よだれズビッ!のバリエーションにもなりますね。
> フルーツ杏仁さん
reasonableは確かに「そこそこの強さ」「まあまあ」くらいの意味で使うことが標準的です。
ここに敢えて出したのは、CFBのライターで、「強い」と普通の人が言うときにreasonableを連発する人がいるので、参考までに提示してみました。
reasonable本来の意味でいえば、リミテッドの2マナ2/2の熊のような、凄く強いわけではないが手堅い基本戦力のことを指す感覚ですね。
確かに手堅い「強い」とロマン的な「強い」では全然意味が違いますからねー
語彙が乏しいと思いこんできた欧米の言葉への偏見を改めて少したださなくてはと自戒しました。
また、翻訳楽しみにしています!
確かに病んでいるの意味で使うのが正式ではあります。
ご指摘の通り日本語の「ヤバい」はしっくりきますね。もっとも、カードレビューで「ヤバい」という場合、単なる強いに留まらない気もしますが。
> chanariaさん
自分もネイティブスピーカーではないですが、だからこそ面白いのかなと思います。
中々しっかり区別するのは難しいですが。
> 通りすがりさん
lethalも使用頻度は高くないですが、たまに使いますね。
でもどちらかというとカード単体より、盤面に使う形容詞な気がします。
> listenerさん
「強い」がテーマだったのでそのあたりは省きましたが、おっしゃる通り両方とも使用頻度高いですね。
記事が好評みたいで嬉しいので、また何か書いてみようかな。
> REQUIEMさん
どうもどうも。確かにビジネスメールや契約なんかでは形容詞使うことは少ないですね。意識したことはないですが面白い。
逆に交渉などでは多用しないものの結構使う印象です。
まあ話す人がいる限り、語彙が足りないということは中々ないもので、どっぷり浸かってみるとまたいいものですよね。
「Reasonable」は「適切な、納得のいく、ちょうどいい」というイメージが強い単語なので、デッキにいれるだけの「納得のいく強さ、適切な(十分な)強さ」を持っている、という感じなんでしょうか。
いえいえ、乗り遅れだなんてそんなことは。
むしろDN上で翻訳をしている方とこそ、より一層盛り上がる話題だと思います。
brokenはまだまだ現役ですが、ポップな表現でもなくなったかもしれませんね。
ぶっ飛んでるカードにはまだまだ使われることがありますが。
reasonableはおっしゃる通りの意味なのですが、CFBのとあるライターが使った時だけ、明らかに「強い」の意味で使っているので紹介してみました。が、ちょっとミスリーディングでしたかね。